ウワノソラ。

サチと私は、同じバンドメンバーだった。 たった４ヶ月ぽっちの付き合いだったけれど、サチとの思い出は嫌な意味で私を羽交い絞めにする。 ＊ ――まったく同じ価値観の人間なんて、そ…

あかりは足繁く地元のゲーセンに通う、音ゲーマー。 夏のある日、閃光の如く彼女はゲーセンにやってきた。 GuitarFreaksを華麗に披露した彼女にあかりは憧れるが、その圧倒的な…

父は、私が高校一年のときに他界した。 私にとって一番の肉親だった父。 私にはやさしかったけど、きっと父は冥界では地獄行きだ。 でもどうか、向こうで元気でいて欲しい。母と仲良くや…

——夜中に、河童が落ちていた。さあ、あなたならどうする？ タカシは眠れずに散歩していると、何者かが倒れているのに気が付いた。 「皿に水をかけてください」と言われ困惑するタカシだ…

病院で起こる、不可解な嘔吐に亜子は困惑していた。 もしかしたら感染症でも流行っているのだろうか…。 ●「部屋のドアがノックされた」でショートショートを書け（原稿用紙５枚）、とい…

※芥川龍之介の『蜘蛛の糸』をアレンジして現代風の作品を書けという、小説講座の課題用に書きました。 ここは針地獄。ケイコには生前の記憶がなかった。非道な方法で、彼女は針から逃れて…

こっそり好きだった友達へ手紙を書いた。 渡せっこない手紙を書いてみた。 惰性で続けてるギターをやめないのは、君のせい――。 ※『芥川龍之介　恋文大賞』用に書いた物の、ボツ作…

彼女が求めるのは生の向こう側。 なのに、死ねたと思ったら台所にいた。 弟のいい玩具として扱われる彼女は、死を希求して包丁を手に取った。 ※自害、レイプシーンがあるので、苦手な…

私は高校二年の冬、友人の遥月に恋をした。すでに彼氏がいた私は、その恋は気の迷いに違いないと封じようとしていたが…。 荒ぶっていた青き時代に焦点を当て、全力奔走していた恋愛たちを…

梅雨——私が高校一年のとき、父は自殺をした。 六月になり、紫陽花が咲き揃うのを見るたび見舞われる、焦燥、後悔、憂鬱。 ふつうに生きていて欲しかった——が、願いは当然のごとく叶わ…

ケイコはいつものようにゲーセンで、Guitar Freaksの筐体で飄々とプレイしている。 こなれた彼女の様子を感心しながらあかねは眺めていた。 「次、なにすんの」 駆け出し…

夜になると、シャワーを浴びてふらりと家にやってきていた彼。 彼と別れて残ったのは、とある気掛かりだった。 「貸したお金は、戻ってくるのか否か」 彼の良心を試しに、私は服部天神…

キャンバスに向き合う茉希を尻目に、不憫だと君子は思う。夏休みであるのに、何故そこまで頑張らなければならないのか。そして何故茉希は頑張るのか。 ひらりと過ぎ去っていく、工芸高校の…

台所には、カビたショートケーキが一つ。 女性は生き生きとした表情で、そのケーキにカメラを向けた。 腐りゆくものとハムスター愛す、サイコでシュールな彼女の日常。

修二と加奈子は夫婦だ。ただ、加奈子は修二に隠し事をしていた。 平穏な場所であるはずのリビングで、彼女の秘密が暴かれていく。 緊迫と悲壮感。そして落胆。 日が落ちたリビングでの、…

駅を降りた途端、酷い猛暑だった。 もうろうとしそうになりながら、私はこれから伺う友人のことを思い浮かべる。 きっとアイスを頬ばる彼女は無邪気でかわいく、眺めているだけでお腹いっぱ…

中学生の二人は街へ繰り出すために駅で待ち合わせした。 秋の肌寒さを感じながら電車を待つ彼女たちの、なんてことはない愛すべき日常。

雨の中、路上でギターの練習していたところ、ふらりと酔っぱらいの女性が立ち止まった。 あっけらかんとした彼女がみせる気だるい仕草に目が留まる。 『男性視点』→『女性視点』 雨で…

私はうどん県出身、うどん育ち。 うどんにねぎ抜きなんてもっての外。 さぁ、うどを作ったからねぎでもかけようか……。そこで目に入ったのは、賞味期限切れのカットねぎだった。 夫と共…

——居るとうっとおしいけど、居ないと寂しいものって、なーんだ？ 夫が帰って来ない夜零時。 いつしか騒がしい日常に慣れきっていたことに気がついた。 公募《エッセイで綴るミニ自分…

雨は疎まれる。 雨が嫌いではない私の、ある日の思うところ。

ずいぶん年の離れた先輩に、どうしようもなく片想い。 何気ない日常でも好きだからこそ意識してしまう、悶々とした心情を描いた。最後の話のみ、創作。 お昼休憩／夏の更衣室／並んでお昼…

頂き物のハーブティーを淹れる私の、なんだか落ち着かない思考。 私はある人を好きだった。 私は既婚者であの子だって彼氏が居たけれど。 もう整理をつけた気持ちでもくすぶってくるこ…

亡き家族を想いながら、何気ない談話の風景。 公募【あなたが大切に想う「家族時間」】応募作品。

唐突すぎる彼からの別れ話しに、ひとさじの足掻き。

母の精神病棟での入院生活と、母の生き方を回顧する。 姫路市の藤原正彦エッセイコンクールに出すだけ出して、引っかからなかった作品。(2018年)

めぐりめぐる、連想ゲーム。 悲愴な体験でさえ時の流れと共に風化してしまえる、この呑気さ。

二人で迎えるいつもの朝。 私はなんともない風に、彼のことが好きなはずだけど。