神様的サポート ピザ
神の連絡員で自身も神のひと柱であるヘルメスが世界最速、どんなところでも届けることを謳う「ヘルメス☆ピザ」。特にギリシャにおいては周知の事実であり、ヘラクレスがヒドラに挑む前に注文し、食べたとされる逸話はあまりにも有名。しかし、現代においてはヘルメスにピザの配達を頼めるだけの対価を払える人間が存在せず、そもそもとして古代ギリシャにピザの存在およびピザを配達する概念があったことを、歴史的な記述があったにも関わらず、「なんか疲れてただけさHAHAHA！」と歴史研究者たちが総勢で笑い飛ばしたことから、歴史の闇に葬られることになった。現代も細々と息づくヘルメス・ハーフの家系では本家の家長だけが「ヘルメス☆ピザ」の真実を口伝されており、今わの際に自分の余命を対価に「ヘルメス☆ピザ」を頼み、「口伝は本当だったんだな」と満足して死んでいくイベントだけが催されるのみである。ヘルメスからすると遣る瀬ないことこの上ない。呼ばれた！と喜んで出掛ければ呼んだ人物が死んでいくのである。神はあんまり人の生き死にに感じるものはないけれど、英雄の時代が終わってから長い間、ずーっと死にざまコンテストを目の前で開催されてしまっては感情も湧いてくるだろう。
どうしたものかと考えていた内に、西暦は2000年代になった。