高貴な男性は肌を明るく見せる黄褐色か、肌の赤みを強調するオレンジ色の顔料でできた化粧品を顔に塗っていた。 エジプトにおける目元の化粧の最古の例は紀元前4000年頃〜3200年頃のマーディ文化で使われた軟マンガン鉱にまでさかのぼる。 古王国時代に入ると孔雀石が、中王国時代に入ると方解石が瞼に塗る化粧品としてより好んで使われた。 目の周りにはアンチモン・アーモンド墨・酸化マンガン・鉛・酸化鉄などの黒・灰色で眉とアイラインを引いた。 自前の眉は剃りおとしてあるのがふつうであった。
ごく少量の鉛を含んだエジプト人のアイライナーが眼病の原因となる一部のバクテリアに対する免疫機能を活性化することが実験によってわかっている。 また、エジプト男性は彼らの妻や娘と同じくらい爪の手入れに関心を持っており、第6王朝のレリーフには二人の男性ネイリストが壮年の男性の足のつめの手入れとヘナのマニキュアを施そうとしている場面が遺されている。