いつも『【悲報】アイドルオタクの私氏、推しに尻を揉まれた挙句、抱き枕にされる。』を読んでくださり、本当にありがとうございます。
今回はまた当物語が一つの節目を迎えた為、ノートの用意をさせていただきました。
御礼や現在執筆中の作品のこれからについて、ほんのちょっぴりの創作論を交えてお話しできたらと思います。
まずはなにより。
題名にもございます通り『【悲報】アイドルオタクの私氏、推しに尻を揉まれた挙句、抱き枕にされる。』について、いただいた各種の評価が区切りの良い数字を迎えました……!
レビューの☆はノート執筆時点で202点! フォローは387名さまよりいただくことができました! これは上埜の中で最高の数字になっており、それだけ雪奈と凛々夏の物語を楽しんでいただけたと考えましたら、嬉しい限りでございます。数ある物語の中で、このお話に時間を割いてくださった読者の皆さまに、感謝してもしきれません。
物語としても一区切り打てるところまで話を進められたので、ちょっぴり安心といった気持ちだったりします。
そこで、というわけではないのですが。先んじて創作論を一つ。おばかなくせに語りたがりなんです、許してください、罵ってください、打ってください。石を投げてくれてもいいです。
お前の創作論なんか知るか、メ◯ヘラ! ドM! だからコメントの返信が出来なくなるんだよカス! と思った方は、下の方にある、“そこで、何を言いたいかと申しますと”、というところまで飛ばしていただければ幸いです。
まずみなさんは、人称というものをご存知かと思います。お話を書く際に、誰の視点から描くのかというあれですね。
私がお話を書く際には、基本的に一人称視点を選択しています。それは自分の描く物語に合ってるという事もありますが、一人称ならではの“妙”があると感じているからです。
“妙”、言い換えるなら“面白み”。私が感じる一人称の面白みとは、視点が固定される事。これに尽きます。
描写について三人称視点のそれより“縛り”が生まれる分、一人称には三人称にはない面白みがあるんですね。
縛りとはなんぞやとあえて言いますと……この主人公はこんな事考えるか? と、自問自答することになります。
自作の話になりますが、尊大で読書好きな吸血鬼のノッテが華やかな言葉選びをする事に問題がないかと思いますが、雪奈のような一般人が同様の言葉を扱う事はありません。雪奈は現代社会に生きる一般人なので、彼女があまり壮大な物言いをするとは考えられないからですね。
例えば綺麗なバラを見た時、ノッテなら
美しい薔薇だ。土の中から萌芽して、時には日差しを浴びて、時には雨を受けて。そうした一瞬を重ねて生み出された赤色が生命を讃えるように咲き誇り、ボクの目を惹いて止まない。……ルナディアなら、“ノッテの眼と同じ色ね”なんて調子のいい事をいうのかな。まったく。
なんて事を考えますが、雪奈なら
すっごい、きれいなバラ……! これを育てるのに、どれくらいの手間暇がかかってるんだろう。そうやって育てた誰かにありがとうって言いたいくらいきれいで、なんだか目を離せないや。凛々夏はこういうお花、贈られたら喜んでくれたり……するかなぁ?
と言った具合に、モノローグの調子が変わります。これも面白みといえば面白みですが、主人公のキャラや気持ちにあってない語りは使えないって事ですね。
あとは控えめな感情の描写ですね。ヒロインがぽつりとこぼした台詞なんかは、一人称で描いてしまうのは違うかなって思います。
例えば凛々夏が
「ユキさんはいっつもわたしのコトを褒めてくれて、そういうところがスキなんです。……言わせないでくださいよ、はぁ……ばか」
なんて言葉を溢したとして、これを一人称視点で描いてしまった際にはそのまま雪奈に受け入れさせる以外の選択肢ありません。きっと雪奈は興奮しすぎて死ぬことになります。
だって聞こえてますよね? だから雪奈の視点に含んで書いちゃってるんですよね? そういう話です。
どうしてもぼかしたい、ないし、主人公にとぼけさせたい(鈍感描写)なら
「ユキさんはいっつも……そういうところが……はぁ……ばか」
という様な描き方になります。これなら雪奈はばかと言われた事にツッコむだけで済みます。そういうところもまた、面白みだとは思います。
これらは時折筆が暴走する時はありますが、基本的なマイルールとして意識してる事であります。意識してるだけで守れない事多数ですが、さぁ、石の投げどころですよ。
じゃあ面白味って? という話になりますと、例えば、主人公と物語の認識齟齬が挙げられると思います。
私たち神の視点から見たならば明らかな事も、物語という平面上に生きる主人公の視座に立つと、途端に不鮮明になってしまう。そうして生まれた齟齬が描く物語の起伏。これがすごく好きなんです。
『【悲報】アイドルオタクの私氏、推しに尻を揉まれた挙句、抱き枕にされる。』は特にその点を強く意識したお話作りをしており、それが顕著に現れたのが23話からの一連のお話かなと思います。
雪奈はあくまでオタクとアイドルとして凛々夏との関係を捉えているけれど、凛々夏視点で見たらどうなのか? ここだけの話、これがこの物語のキモだと思ってます。内緒ですよ。
私が物語を描くときには、あまり他のキャラクターの視点を断続的に挟まないようにしています。そっちの方が、“この時このキャラは何を考えてるんだろうな”という、空想の余地が生まれると思うからです。
なんだかカッコつけた事を言ってるようですが、三人称視点になると必要な語彙の量や分量増えるからという情けない理由もありますが。さぁ! いつでも石をどうぞ!! あっ、目はやめてください!!
それで、何を言いたいかと申しますと。
『【悲報】アイドルオタクの私氏、推しに尻を揉まれた挙句、抱き枕にされる。』について。
次回更新分から視点が変わります……!
本来この物語は一貫して雪奈の視点を描くつもりで、次回更新分は25話から続くエピソードにするつもりでしたが、各種評価へのお礼として“彼女”の視点で物語を描く特別編になります。
内容としては、雪奈が悲しみに暮れていた時、彼女は何を想っていたのか、そんなお話です。
今まで少しだけ触れていた“彼女達”も登場しますので、お楽しみにしていただければ幸いです。
また、現在同時に『いじめっこをいじめるいじめっ子。』というお話を執筆中です。
これは雪奈や凛々夏には絶対させられないような言動をする主人公やヒロインによる百合になっており、書いてる自分でも若干引くようなお話になっています。
光の百合と闇の百合って感じですね。二つが合わさる事で最強に見えます。
ちょっとブラックでダークでビターな百合が好き。後はやっぱり、受けはボコボコにされてなんぼだよね。そんな方に読んでもらいたいインモラルなお話ですが、楽しんでいただければ幸いです。
最終的には主人公ユカリの下でヒロイン達に……いや、やめておきます。書こうと思った自分に引きました。
長くなってしまいましたが、今後も何卒『【悲報】アイドルオタクの私氏、推しに尻を揉まれた挙句、抱き枕にされる。』を含む物語たちを、楽しんでいっていただければ嬉しいです。
……そろそろ『【悲報】アイドルオタクの私氏、推しに尻を揉まれた挙句、抱き枕にされる。』の略称を考えても、いいかなぁ? そう思う、上埜でした。