今朝偶々読んだ昨年のInternational New York Timesの死亡記事(2015年10月7日付)にスウェーデンの推理作家でKurt Wallander(クルト・バランダー)警部シリーズが有名というHenning Mankell(ヘニング・マンケル)が載っていた。特に眼を引いたのは、彼が《犯罪小説生誕地》の一つと言われるスカンジナビアのNoir Writers(黒色作家とでも訳すのか)の長老であり、その派に属するとされる作家の中に今小生が最も注目しているノルウェーの犯罪小説作家Jo Nesbo(ジョー・ネスボ)の名前を見つけたからである。
他には アイスランドの作家 Arnaldur Indridason (アートナルチュル・イントリダソンか。発音が難しい)とスウェーデンの作家Stieg Larsson(スティーグ・ラーソン)が挙げられていた。
彼らの共通項はいずれも、主人公たちが傷ついた過去?を持つ注目に値する人物を身近なサスペンスで包み込み、確固たる社会的テーマを有する小説で世界的な名声を得ていることである。
何しろ発行部数が最大で8000万部で、普通2000万部クラスというから度を越している。
ヘニング・マンケルは一年を首都ストックホルムとモザンビークの首都・マプートで過ごして来た。マプートでは地元劇場のアート・ディレクターを務めている。
2011年のInternational New York Timesのインタビューで彼は「アフリカにやって来た目的はただひとつ。ヨーロッパの自己中心的なものとは違うパースペクティブで世界を眺めるためであり、場所はアジアでも南米でも良かったのだが、航空運賃が一番安かったのでアフリカにした」と述べている。
ネットで北欧の小説関連サイトNordic Noir Novels & Beyondを見ていたら、大学の頃に読んだ夫婦作家の『笑う警官』がベスト3に入っていたのが面白かった。(The Laughing Policeman – Maj Sjöwall & Per Wahlöö)
Nordic Noir Novelsという「3N」のスカンジナビアから比較的近いアイルランドに飛べば、自伝的作品Borstal Boy を書いた Brendan Behan(ブレンダン・ビーアン)という作品名の2つのBと作家名の2つのBあわせて「4B」の作家が存在するのも面白い。ちなみにBorstalは彼が収監された少年院の名称である。
ビーアンは小生が首都ダブリンにあるダブリン作家ミュージアムを訪ねた時に気に入った作家・戯曲家で、作品Borstal Boyは彼が16歳の時、IRA(アイルランド共和国軍)に参加し、イギリスの港湾都市リヴァプールで英国政府に対する爆破破壊活動で逮捕され、少年院で過ごした体験を基にした実録ものである。
暗くなりがちな内容と思われたのだが、ビーアンはその体験を実に明るく描いているのが印象に残る。