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「人魚は歩けない」についてのあれこれ

第六回こむら川小説大賞お疲れさまでした。
今年はついに私も最終日の川の氾濫に手を貸してしまい、2作目はギリギリの投稿でした。評議員のみなさま、ありがとうございます。毎年楽しい夏のお祭りです。
一作目の「人魚は歩けない」について、忘れないうちにアレコレ記しておこうと思います。ネタバレがありますので本作を読んでからこちらに目を移していただけると嬉しいです。
タイトル「人魚は歩けない」ですが、谷山浩子さんの楽曲からタイトルをお借りしました。谷山浩子さんの曲はポップでキュートなものから、ダークで怖いものまで幅広いのですが、「人魚歩けない」はちょうどグレーの辺りに位置する、ポップでダークでちょっと悲しい歌です。そんな歌を聞きながら、前々からやってみたかった物語を書きました。
もともと、「人魚の養殖」というアイデアがあって、その間に「オーブランの少女」を読んでめちゃくちゃ気に入ったりしたので、人魚がいるのかいないのかわからないミステリー仕立てのホラーを書こうと思いました。あと、因習村が流行っている間に一作書きたかった。
エビスサマという名前は、海から来るものならエビスでしょと安易な気持ちで決めました。痔の手術を前にして、しばらく飲めなくなるビールたちに思いを馳せながらエビスビールを飲んだからというのもあります。私は人物の名付けが本当に苦手で、今連載が止まっている「アクジキ」シリーズの西園というキャラクターも本棚の目につくところに「多重人格探偵サイコ」があったからという体たらくです。雰囲気で名前をつけています。
さて、本作は色々仕込んでみたものの、一番気に入ってるのは「海に沈めて魚の餌にしてやる」という序盤の一文です。結果的にそれがオチになるというのは決めていて、なんとか形になったのでよかった。
本文の中では明らかにならないというか、書ききれなかったのは、エビスサマが食べていた壺の中の塩漬け肉です。あれは弱った人魚の肉です。リサイクルされています。生殖が可能になる前の人魚は、別の場所にいるという設定もあるにはある。どこから子供を産むのだろうか。アザラシ式に脇……?と考えたのですが、あまりにも幻想的でないのでどうでもよくなってやめました。
第六回にはもう一作出してますので、よろしければそちらもよろしくお願いします。

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