さいかわ葉月賞で
https://kakuyomu.jp/user_events/16818093082082662779優秀賞をいただきました!
ふぉー、嬉しいー!!!
「失恋エモーショナル」
https://kakuyomu.jp/works/16818093083209062463結果発表までは、書いた小説の内容だけで勝負と思っていたので、
ようやく「失恋エモーショナル」について、いいわけをさせていただきたいと思います。
少女漫画やティーンズノベルに親しんだ時代が、遙か遠い竹部としましては
昨今のヒロインのフられてからの立ち直りの早さは、目をみはるものがあります。
婚約破棄から始まる溺愛ストーリーをひとつ思い浮かべていただけると良いかと思うのですが、
「〇〇様を愛していたのに……!」のセリフを最後に、二度とその婚約者の顔を思い浮かべることは無いこともザラです。
溺愛されるステージに向かって、メソメソするヒマは与えられないことが多いので仕方がないのですが、どのヒロインも鉄人並みにタフです。
恋で自分を崩さない強さ、切り替えの早いクレバーさが、昨今のヒロインキャラクターに求められている要件なのかもしれないなと思っておりました。
でも、本気で好きだった人にフられるって、それだけで乙女の一大事じゃないですか!
フラれるだけの話じゃ、作品にならないかな。
これがホントの「エモい」じゃないのかな。
そう思ったのが今作「失恋エモーショナル」を書こうと思った動機です。
はっきりと誰の何が悪いとも言えないのに、関係が崩れていく。
彼の気持ちが少しずつ離れていることを分かっていて、気づかないふりをする。
別れを告げられるために、精一杯のオシャレをして待ち合わせの喫茶店へ行く。
予定通りにフラれて、ひとりで泣きわめく。
悲劇のヒロインみたいな彼女の心情を、ただ描く。
いいよね、だって、今日フラれるなんて
間違いなく悲劇のヒロインだもんね。
結構がっつりと女性向けに書いたつもりが、男性読者の胸をより深くえぐるという興味深い結果を得ることもできました。
男だ女だというと、ジェンダーの時代に怒られそうですが、あの日の失恋が過去のものか、今も痛いかという感覚については、案外性差があるのかもしれません。
……今後の執筆に生かしたいと思います。
夏の暑さにやられ、夏の勢いだけで書いたお話だったわけですが、これを葉月賞に応募しようと決心したのは、主催者の犀川様に(勝手に)甘えたという理由でもあります。
(復刻版)今は専業主婦だけど、週末はホームレスをしていた話
https://kakuyomu.jp/user_events/16818093082082662779というファンキーで魅力的な生き方が光る犀川様ですが
各駅停車に乗れば
https://kakuyomu.jp/works/16818093075821851748のような
『美しく高級な包装紙を開けると、手にザラザラする中身が詰まっている作品』をお書きになる作家様だと思っております。
上手く表現できないのですが、憧れております。
ご自身が素晴らしい作家様であると同時に、
葉月賞のように「参加者全員の作品をガチ読みし、賞を授ける」企画の主催者であり、
若手の作家の作品に丁寧なコメントを寄せていたり、
どこか物書きたちを「育てる」ようなスタンスを感じるのです。
そこに、甘えさせていただきました。
さいかわ葉月賞に応募するのだから、少なくともピンポイントで「犀川様に」読んでもらいたいと思う作品を書こう。
その意思だけは、ブレずに書き上げられたと思っています。
(それがコレかーい!というお叱りは、甘んじて受けるとして)
彼女の心の動きを丁寧に読み取っていただき、時に一歩引いて「あぁ、そんなことがあったね」と苦笑いして下さったこと、一生の宝物にいたします。
私のエモーショナルを受け取っていただけて本当に嬉しいです。
また、最後の方で女性の服装関係の描写をお褒めいただき、
『女子作家らしくてわたしは好きです』とまで言って下さっております。
犀川様のコメント欄にはカッコ悪いから書きませんでしたが、
オシャレ難民の竹部に、昨今のJDの勝負服が分かるはずもなく、
血走った眼で、街を歩く若い女の子たちの服装を観察しました。
完全な不審者であったことをここに告白し、今回のいいわけを締めさせていただきます。
犀川様、葉月賞の選者の皆様、素晴らしい賞の企画運営をありがとうございました。
失恋エモーショナルにコメントをお寄せ下さった皆様、「その」恋はきっとあなたの作品の中でもキラリと光るはずです。