一部分のみ、宣伝目的で公開です。
あんまりやらないから、こういう時は本当に悩みます。(^_^;)
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「しかも再封印が無理っていうのは別の理由もあるんだよね。」
「別の理由……、」
短くトートが呟くのを聞いて、ロキは視線だけをトートに移した。
「あの封印、どうにも内側から壊されてるだけじゃないみたいなんだ。」
「……それはつまり、」
「そう、外側からも壊されてる。悪神の妨害のせいで封印が施せないのも要因の1つだけど、一番の問題は外側の方なんだ。スルトと再封印をかけようとした時に偶然見付けた。内側から付けられた傷だけならともかく、外側から意図的につけられた傷の方はもうどうしようもない。」
「誰が………、」
つぶやくトートに、ロキは何も言わなかった。
内側ではなく、外側から付けられた傷……。それはつまり、外部から何者かが意図的に付けた事に他ならないのだ。
悪神の存在を知る者は自分達を除いて、この地上には誰もいない。
居るとすれば、それはこの0の世界、ファルゼアの外。
神界の神や、1から6の世界の統治者や、それに近い権限を持つ者だけだろう。
スルトが再び会話に混ざる。
「ロキ、神界の連中の手を借りるしかねえ。それが無理なら天界か魔界だ。あいつらなら封印を………、」
「とっくに連絡をしたよ。でも、無理だった。」
淡々と答えるロキの言葉を聞いて、スルトの表情に怒りが浮かぶ。
「………あいつらっ!この非常事態にっ!!」
「違うよ、スルト。彼らは協力しないんじゃない。出来ないんだ。」
「……出来ねえ?どういう意味だ。」
怪訝な顔をするスルトに、ロキがある事を言う。
その言葉が静かで、見た目よりも遥かに広い図書館に響き渡った後、染み込むように消えていく。
だが、それを確かに聞いたスルトばかりか、トートですら仮面越しにその表情に動揺を浮かべた。
「…………マジ、かよ。」
「……ロキ、それは確かなのかね?」
ロキは頷いた。
「本当だよ。聞いただけだからそこまで詳しくは知らないけど、現在、神界の30ある区画の内、20近くが壊滅状態で、かなりの数の神が殺されてる。悪神を倒した後、反旗を翻したクロノスが出した被害はこれより上だけど、それの対処に天界どころか魔界の七罪の大魔族まで動いたらしいから、かなりの大事おおごとだよ。その件でまだ手負いの状態だろうに、力の一部とはいえアルシアを助けにグラトニーの爺さんは来てくれたんだ。かなり優しいものさ。」
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