SF作家たちの間で評判の良かったアーシュラ・K・ル=グウィンの『文体の舵をとれ』、実践してみています。小説創作技法の解説本です。特に文体に対し、技術的な洗練を目指す指南書のようです。
翻訳は英日の文の特性差を考慮して様々な工夫が凝らされている労作であるのは確かなのですが、ル=グウィンの語り口で文章技法を学んでみたかったのに『ゲド戦記』や『闇の左手』から思い描いたようなするすると入ってくる日本語訳とはちょっと違うかな、という印象。出題内容がやや把握しにくいです。
それでも純粋に文章そのものの技術が示され、具体的な課題も用意されているものは、小説、しかもSFやファンタジージャンルの書き手が著したものとなると貴重かと思います。
課題の実習負荷は割と高いです。高校・大学の文芸サークルなどの複数人で揃って取り組むと楽しいような気がします。
カクヨムでも「文舵」「文体の舵をとれ」といったタグで実習されている方が他にも複数いるようです。