「カクヨム2020夏物語」に参加しております「そうめん」が作者が想像していた以上にみなさまからのご評価をいただきまして、驚きと嬉しさの毎日です。お読みくださったみなさま、その上応援や評価をくださったみなさまにはこの場を借りてお礼を述べさせていただきます。ほんとうにありがとうございます。
本作に登場するそうめんのめんつゆですが、実は私自身が我が父から、父は祖母から教わったレシピなのです。件のつゆには動物性脂肪を含みませんので温めてもよし冷やしたままでもよし、なので二食続いても飽きないということで、私が子供の頃の夏場にはかなりの頻度で食卓に登場したものでした。
作者にとってはとてもポピュラーな食べ方だったのですが、誰に話してもそんな食べ方は聞いたことがないと言われ、それならばと、こうして作品にしてみたのでした。
本作は当初、2020年のこの夏に在宅勤務の合間に簡単な食事として出されたそうめんに文句を言いながら最後はそのおいしさに感心するという、ヒロイン(で、いいのかな?)である女性の独り語りのお話でした。
そして、せっかく書き上げたのでコンテストに応募してみようかと思い立ったのですが……なんと、2020夏物語にはジャンルが指定されているではないですか。そこで苦心してあのような構成に仕立て直したのでした。
主役の「オジサン」が今際の際に見たうたかたの夢か、はたまた神のいたずらにも似たタイムリープをしたのか、そこはあえてぼかしながらもほんのりとSFっぽさが演出できていればなぁ、と考えております。
そして本作ではもうひとつ、作者が影響を受けた作品へのオマージュを入れています。その作品とは日本の三大奇書と呼ばれている作品です。本作冒頭と最後に出てくるモーター音がそれです。ひょっとするとお読みくださった方の中にはお気づきになられた方もいらっしゃるかも知れません。そしてこのオマージュが本作に重厚感というスパイスが効いてくれればな、と考えております。
なにはともあれ、本作をきっかけにして作者の他作品にもご興味をお持ちいただけたなら嬉しい限りです。これからもご愛読をよろしくお願い申し上げます。