4月、私は何者かと問うと何者でもなかった。この国はおかしいと思うことがある。何もしていないのに悪く言われる。何もしないからこそ悪く言われるのだろうか。しかし何かすれば悪く言われることもある。というより何かすることに対して囃し立てて拒絶する風潮があるーー。だからとは言えないが、何もしていないように振る舞って、隠れて働くことを強いられてきたように思う。
大学の掲示板を見た。
求人欄に興味のある職種が全くない。私はどうしてこの大学にきたのだろうか。まだ良いかと思う福祉関係の仕事も初任給の欄を確認するとアルバイトの方がマシなように思われるほどの小さな数字が並ぶ。
大学と最寄りの駅の間は徒歩で移動するしかなかったが、私は歩きながらにいつも暗い気持ちだった。社会から抹殺された気持ちがした。皆高校の時分に自らの仕事を想像したろうか。丘の上に聳える大学の棟の入り口あたりからは遠くのビル群が薄ら小さく見えている。あそこはかなり遠く理解し難い土地のように思える。
私は時折この先どうにもならないことを想像して死ぬことを考えた。