「先輩!!フェス行きましょうフェス!!」
「いいぞ。有名どころは誰が出るの??」
「オオグソムシとかですかね!!」
「なにそれw俺聴いたこと無いそれw他は??有名どころな!!」
「カブトムシとかですかね?」
「aikoの??なんで曲名なのww」
このまま騙して連れて行くことも出来たかもしれない。今にして思えば騙せる最初で最後のチャンスだった。
「えーと虫食いフェスな・・」
「絶対に俺を誘わないで!!!」
毎年職場の水野先輩を虫食いフェスティバルに誘い続ける事数年。未だに前向きな返事はもらえない。きっと次回もフラれるだろう。
もちろん僕もひとりで行く勇気は無いし好き嫌いが激しいので理想は先輩に食べさせて味と触感の感想だけ聞きたい。その魂胆も正直に話して誘っているが首を縦に振ってもらえない。
社員旅行で遠く離れた田舎街に宿泊した時のことだ。
ザザムシという虫を提供しているお店を事前にリサーチし、夜に先輩を飲みに誘った。酔いの回った先輩にお通しと装いザザムシを注文しさりげなくビールの横に置いたところすんなりと口の中へ。
「なにこれ?白子?」
「なるほど白子のような味なのですねw」
「・・・・・・お前コレいwjでjdfjg!!!!!」
その後しばらく口をきいてもらえませんでした。
今年もコロナで開催は難しいと思うがいつか先輩を連れて『フェス』に行きたいとおもう。
https://kakuyomu.jp/works/16816452219659046298/episodes/16816452221056462556