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今回も即興小説を載せておきます、今度は趣向を変えてにゃー子の話を書いてみました。
にゃー子と幽霊
「うらめしや~」
「にゃー! 昔の映画に出て来そうな幽霊が出てきたにゃー!」
にゃー子が夏の灰川家の庭先で寝てた夜、白装束に三角巾を着けたステレオタイプな女の幽霊が出てきた。強い霊でもないから灰川家の者達は起きて来ない。
「何か未練があるにゃ? 良かったら話してみるにゃ」
「猫が喋ってるー! こんなの初めてよ!」
「たまに幽霊にも人間にも言われるにゃ! にゃー子は猫叉だにゃ、さっさと未練を話すにゃ!」
にゃー子は幽霊などを強制的に祓う事は誠治と同じように好きではなく、出来るなら未練や心残りを果たして納得できる形で在るべき所に向かって欲しいと考えてる猫叉だ。
「私は生前に日本酒が好きで好きで堪らなかったの、未練は100点満点を越える日本酒を飲むことよ…」
「幽霊なのに浄霊の効果がある日本酒が好きなのかにゃ…日本酒も立つ瀬がないにゃ」
「このまま放って置かれたら、その内に目に付く日本酒を片っ端から飲み干す怪異になり果ててしまうわ…」
「迷惑な怪異にゃ!放って置けんにゃ! ちょっと待ってろにゃ、功の日本酒(除霊に使わないやつ)を持ってくるにゃ!」
「お願いね、出来たら純米酒か吟醸酒が良いわ…それか醸造酒ね…」
「それ大体の日本酒が当てはまるにゃ!」
にゃー子は灰川家と庭先を何往復かして功の酒を持って来た、猫叉だから普通の猫より器用なのだ。
「まずはコレにゃ、純米清酒・関東の酒蔵で日本酒作ったら良いの出来ちゃいました!だにゃ!」
「名前が変…」
「開けてコップに注いでやるにゃ」
「肉球でも開けられる便利な蓋なのね…コップも猫の絵が描いてある…」
にゃー子が蓋を開けて酒を注ぐと、コップは動いてないのに中身の酒はぐいーっと無くなって行った。
「どうにゃ? 満足したにゃ?」
「のど越しは良いけど…味の深みが全然ね…、でも悪くないわ…毎日飲むなら値段的にもこういう日本酒が良いと思うわ…70点ね…」
「これじゃダメだったかにゃ、じゃあ次にゃ! にゃーーっ、蓋が硬いにゃ!」
次の瓶を開けてコップに注ぐ、次の酒はさっきより精米歩合が高い良い酒だ。
「純米吟醸・ジャワ原人にゃ! 精米歩合55%の良い酒にゃ!」
「また名前が…いただきます…。凄く良いわ…のど越しも滑らかで舌触りが芸術的ですらある…でも味の良さに反して余韻が足りないわ…、89点…」
「じゃあ次は、純米大吟醸・忘失都市にゃ! これは自信アリにゃ!」
「幽霊の間で噂が広まってる怪異と同じ名前ね…関係無いと思うけど…、いただきます…」
幽霊が大吟醸酒を飲むと、今までで一番満足した霊気を発したが。
「美味しい…とても美味しいわ…、味ものど越しも余韻も言う事なしの100点ね…、でも100点を越えれないわ…」
「にゃ~…残念だにゃ、ここにはもうこれ以上の酒は無いにゃ…」
「ううん…私のワガママを聞いてくれてありがとう、猫叉さん…、もう少し現世に留まって最高の日本酒を探してみるわね…」
「分かったにゃ、最高の日本酒を見つけたらまた来て、にゃー子にも教えるにゃ!」
そうして幽霊は何処となく去って行き、最高の日本酒を求めて旅立って行った。次は多分、米の本場の新潟県とかに行きそうな気がする。
「にゃー子も寝るにゃ、明日は配信の予定もあるし、視聴者どもにまた宣伝を催促してやるにゃ!」
こうしてにゃー子も夜空の下で涼みながら眠り、次の日に備えるのだった。
数日後に新潟県の酒蔵で幽霊を見たという情報があったそうだが、それはにゃー子も灰川家も知らない話である。
@pikkataさん、ギフトをありがとうございました!
まだ続く予定ですので、読んで頂ける幸いです。