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新年度が始まりました

 新年度が始まりましたね。今日から、新人研修という人もいるのではないでしょうか。
 大学で四年間、休みどっさりの生活をしてきた私は、4月1日から容赦なく始まる社会人生活というものに、息苦しさと恐怖を感じたものです。

 実は私、理系でして、入社した会社も化学会社で、研修場所も研究所でした。いや、研究所と言う名の工場でした。
 田舎だから敷地が広く、あちこちに研究棟が点在する広い工場内には、テニスコートや体育館もありました。テニスコートに体育館なんて書くとリッチな感じがするかもしれませんが、全部が古くてボロかったです。昼休みになると、ベテランの社員さんは、外でテニポンをやっていたりして、どことなくのどかでした。

 なんせ場所が工場みたいなところなので、男性はみな作業着でしたし、女性もジャージの上に白衣を着ていたので、これまた地味でした。私は、家から研究所が近かったのもあって、ジーンズにスニーカーとか、学生みたいな格好で、会社に行ってました。

 とにかく広いので、工場内の移動は、自転車を使うことが多かったです。
 例によってそそっかしい私は、一度、仕事の資料を読みながら、片手で自転車を漕いだあげく、工場内の電信柱に激突して、自転車を壊したことがありました。
 もちろん自分も擦り傷だらけになりましたが、血だらけでパンクした自転車を引きずって、自分の所属する実験棟に戻ると、同僚の男性達は、私の怪我より、自転車の壊れように驚いていました。

 どういう走り方をすると、こんな壊れ方をするんだ! 
 そして、お前は擦り傷だけって、どういうこった!?

 そんなことを言いつつ、彼らはトンカントンカン、その日中に、その自転車を直してしまいました。私が驚いてお礼を言うと、ボーナスは全部、俺たちによこせよ~、と、笑顔で恐ろしいことを言われましたっけ。

 夏は暑いし、冬は寒いし、実験室という場所は、決して体に優しい場所ではなかったけれど、実験台に向かい、フラスコを振る日々は、嫌いではありませんでした。
 

1件のコメント

  • こちらに失礼いたします。
    この度は、拙作にレビューコメントを頂きまして、ありがとうございます。
    丁寧に読んで下さって、とても嬉しいです。
    今後ともよろしくお願い致します。
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