皆様、お久しぶりです。
長らく(1年半近く)pixivに籠り、武者修行と称してウマ娘の二次創作を書いておりました。
先日ようやく完結を迎え、42万字の資産を残し、またこちらへ戻ってきました鷹仁(たかひとし)です。
二次創作に関して色々意見はあると思いますが、とりあえず完結できた記念に、所感等をこちらに残していこうと思います。
pixivの方にあとがきを書こうかと思いましたが、作品に作者が出てくると白けるので、創作の主要拠点であるカクヨムに書くことにしました。
まずそもそも僕がウマ娘の二次創作を書こうと思った経緯として、ニコニコ動画に投稿された『東方手書き劇場』という東方project二次創作群の存在がありました。
これを好んで見ていたのは、もう十年以上前で、僕が本格的にwebに小説を上げていなかった頃です。短編的なものをお遊びで書いていた記憶はあります。
ここに上げられていた動画は玉石混交でしたが、どれも熱く、東方への愛を感じさせる作品ばかりでした。
素人の拙さを愛で補い、視聴者を画面に張り付ける、そんな作品ばかりでした。
そして中には、素人を超越した技術で愛をぶつけてくる作品も数多くあります。
僕は、その動画の中でも『東方適当録』『東方缶蹴り』という作品が好きで、投稿を楽しみにしていました。
どちらもアマチュアとは思えないハイクオリティ、ハイセンスな作品で僕以外にも多くのファンが更新を待ち望んでいた作品です。
結論から言うと、どちらも完結しませんでした。
いや、作者の生存を確認できているので、待ち望めばまた更新してくれるのかもしれません。
ですが、僕は怒りを覚えました。
こんなに才能あふれて、読者を惹き付ける愛情のこもった作品を書ける人間が、読者の期待をあざ笑うかのように焦らし行為をしている!
もしも僕であれば、ファンをこんな悲しい気持ちにさせない。
必ず優しくするからね。
しかし、当時の僕には力がありませんでした。
ファンの心を動かすことも、ましてや完結まで話を紡ぐことも出来ません。
お手上げです。ただ時間だけが過ぎていきます。
こうして一人の男の中で、煮えたぎる情熱は熟成していったのです。
十年後、そこには未更新の作品を見つめながら、別タブでpixivを開く一人の男が生まれました。そう、僕です。
初恋を奪われた純朴な僕の手は、ナイフの代わりにキーボードに置かれていました。
そして、暗闇で光り輝くディスプレイに向かってこう呟きます。
「僕が憧れを終わらせる、僕の作品をもってして……!」
十年も経つと、世の趨勢は大きく様変わりします。
東方というジャンルも、まだ続いてはいますが、以前のような勢いがありません。
そこで僕は、世間に目を向けました。
ありました。膨大な熱量と、戦前からの積み重ねによって重厚な才能を輝かせている覇権と呼ぶべき作品が!
そうです。『ウマ娘プリティーダービー』です。
実は、この作品と出会う前後に、競走馬の名実況を何度も聞きなおしていました。
アーモンドアイという名馬が35年ぶりにG1レースの最多勝利記録を更新して引退したというニュースがきっかけです。
当時の僕は、オグリキャップやディープインパクト、ナリタブライアンくらいしか有名な競走馬を知りませんでした。
しかし、Youtubeでたまたま見つけた名実況集を見たことにより、僕の脳内は競走馬で溢れかえりました。
そこには、馬が走るという事象以上のドラマがあったのです。
実況が生み出すリズムと心の奥底を滾らせるエモさに、僕は心底惚れました。
初恋が実らなくても、次の相手がいる。
僕がそう確信した瞬間でした。
燃え盛った炎は誰にも止めることが出来ません。
そして新しいもの好きの僕は、今までの一次創作から離れ、二次創作という新たなフロンティアへと旅立つのでした。
ウマ娘の二次創作を書くにあたり、ジャスタウェイを題材にしようと思いました。
この競走馬は日本で初めて世界一になった馬で、破天荒なゴールドシップの親友という美味しいキャラが付いています。
そして何より、すでに実装されて一線で活躍しているゴールドシップとは違い、ファンの間でジャスタウェイは実装が待ち望まれているウマ娘です。
この、ファンから期待された未実装ウマ娘であるという点に、僕は目を付けました。
そうです、この子の魅力は僕にしか引き出せないと思ったのです。
紆余曲折あり、ウマ娘の二次創作を書くことになった僕ですが、ここで試練が訪れます。
書きたいキャラも決め、事前に情報収集をしようと思い、他の人の作品を覗いたとき、僕はアッと声が出ました。
そうです、僕が書こうとしている二次創作の物語はすでに書かれていて、しかも一話のpvが4200以上、ブックマーク150、いいね120の評価までついているのです。
当時の僕は10万字超えの長編を書いて総pvが3000超えるくらいでしたので、たった1000字ちょっとでこれだけの反応を貰えているというのは凄まじいというほかない。
まるで僕しか魅力を理解していないクラスの女の子が、実はクラス中の男子から好意を寄せられていたことに気づいたときのような思いでした。
果たして、今更僕がこのテーマで書く意味はあるのか?
僕の心に、致命的な葛藤が生まれました。
↓【完結済】ウマ娘Way of Gold.
https://www.pixiv.net/novel/series/9794200