政府のオリンピック関係者の度量の狭さや社会常識の欠如については前2回で指摘しました。そこで、今になって「ハタ」と思ったことがあります。様々なメディアで登場するオリ・パラのシンボルマークです。そう、江戸伝統の市松模様でデザインされた円を基本にしたあの2つのマークです。私の記憶が確かなら、オリンピックもパラリンピックも全く同数のパーツでできているということです。
問題はそこではありません。2つのシンボルマークの円の並び方です。オリンピックは、大小2つの同心円で表現されています。360度どこから見ても同じ見え方をする点対称の“完全な円”です。一方、パラリンピックの方はというと、オリンピックと多分大きさの同じ大小2つの円で表現されていますが、最上部で重なる線対称の形をしています。もうお気づきのことでしょう。オリンピックがパーフェクトな形をしているのに対し、パラリンピックのシンボルマークは左右の軸で見たら対象にはなりません。「完全」に対しては「不完全」という風に受け取れなくもありません。
作者の意図とは無関係に、小説でも触れた数々のオリ・パラの扱いの不平等、そしてパラリンピックを“排除”したオリンピックだけのミュージアムを見ていると、シンボルマークの選考に関わった役人や政治家の中にはこうした暗喩を理解した上で決定したのかも知れません。この辺りについても、近く小説で取り上げるつもりです。