• エッセイ・ノンフィクション
  • 現代ドラマ

名人戦半端ないって

 将棋の第76期名人戦第6局を観戦しました。と言っても対局室に入れるわけはなく、対局が行われた山形県天童市内のホテルの公開大盤解説。結果は既に報じられている通り、対戦成績3勝2敗で王手をかけていた佐藤天彦名人が羽生善治竜王の挑戦を退け、名人位3連覇です。羽生竜王には名人位通算10期とタイトル獲得通算100期の記録がかかっていたので、対局前から大きな注目を集めていました。
 多くのファンが見つめるモニターとスクリーン。映し出された盤上の一手一手に緊張感が伝わってきます。そして、日曜の昼前にテレビで観る対局とは全く異なる空気感。もし、これが両者が王手の第7局だったら、ピリピリ感はMAXだったでしょう。もちろん、W杯サッカーや他のスポーツのように激しい動きがあるわけではありません。刃を交え雌雄を決するる剣術の試合ではなく、ろうそくの明かりの下で精神を統一し愛剣の手入れをする武士のようにも思えます。
 破竹の勢いを見せる藤井総太7段がこの場に立つにはルール上、多くの難関が待ち受けますが、棋界の常識をことごとく覆してきただけに、そんな遠い先の話ではないかもしれない。二人の棋士の持ち時間にそんな想像をしていました。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する