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北の森の住民8

https://kakuyomu.jp/works/16817330656927273343/episodes/16818093086863594634


「……膠着状態となったら和睦を申し入れる」



「おいおい、幾らなんでも希望的観測が過ぎるだろう。話しが通じるかどうか分からない相手に“仲良くしましょう”なんて言えるのか? 難癖付けて他の集落潰して回っているような連中だぞ」



「しかし……」





 反論の言葉が出なかった。完全に俺の負けである。理知と野生の合間で揺れ動くこの時の状況は正直にいって綺麗事で解決できるようなものではなかった。取るか取られるか、即発の危機。確かに守勢に回ったところで根本の解決にならない。そんな事は分かってはいた。しかしそれでも何とか平和的に解決できないかと考えていたのだ。



 そんな考慮が一気に消し飛ぶ事態が次の瞬間に起きる。

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