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ファローについて[至灰期の補足]

〇人形族
『物族』の一種です。特に『当代人類』に似た姿で造られた物族をこう呼びます。
(※物族は、生物種・精霊種が行動の補助に用いたり、使用するために作った品物の総称です。『使用されること』『性能の良さを証明すること』が何より勝る本能です。)
ファロー・リリア・フローセ・花人形たち等は人形族に分類されます。
人形族の用途は様々で、工場や極所での作業を行う人形、歌や踊りで楽しませる娯楽用の人形、防衛や戦闘を行う人形など様々です。
ファローとフローセは戦闘用、リリアは観賞用の人形族として造られました。

〇タタリ人形
用途通りに使ってもらえなかったり、粗末に扱われた人形族がなるものです。
そこにあるだけで世界を■うためタタリ人形と呼び、大抵の場合、管理精霊種以上の『力の強い精霊』に預けられます。
浄化に成功したり、本来の使われ方を全うできれば、普通の人形族になることもあります。

〇スクラップ・失敗作
製造日に製造者から「失敗作だからいらない」と言われて捨てられた人形族の総称です。
大部分は失敗作として破壊されますが、極まれに破壊されず彷徨った人形族は強いタタリ人形と化します。ファローやリリアはここに分類されます。

〇ファローの半生
フラクロウ二代目女王が各地に作成した『箱庭』出身の人形族です。
簡潔にまとめるのなら『デスゲームからの救済を求めて、まったく知識のない素人たちが造った人形』です。
二代目女王は『箱庭』で人形族が作られることも見越しており、いい材料は用意されていませんでした。そのためファローは通常の人形族より性能が大きく劣っており、製造者たちを守れませんでした。ファローは製造者の今際の際に「役立たず」と罵られ、箱庭の破壊には成功したもののタタリ人形になってしまいます。

彷徨う彼を拾った場所こそが、やがて彼が裏切ることになる、精霊のいる技術者集団『イヌダシオン』です。
イヌダシオンでしばらく過ごして後、ファローは自身の有用性を認められることを強く望み、イヌダシオンを裏切り、フラクロウ側の技術者に属することになります。しかし研究は上手く進まず、『灰の怪』の成立より前に、とある事故を起こした責任からファローは制裁を受けました。

ボロボロで行き倒れていた所を元同胞であったフローセとテヤ(本編未登場)によって救われ大図書館に辿り着き、そこで出身世界のその後を知ります。
初めこそ「自分たちのせいではない」「他に責任を取るべき者は大勢いる」と言い張り、思い込もうとしていましたが、精神的に安定するにつれて自責の念は大きくなるばかりでした。
(※ファローは「学術的な物族」ではなかったために、『知識欲』を第一に考える大図書館に馴染めなかったこと・知り合いは全員、裏切った相手だったことも居心地の悪さに繋がっていました。)
ファローはやがて、自分がイヌダシオンを裏切るに至った精神性は変わっていないことを自覚します。『誰にも変わる事のできない役割』『自分の仕事』をどうしても求めてしまう”スクラップと呼ばれた人形”としての、変えられない渇望も同じく抱えたままであると気がつきました。
それらと物族の矜持とを合わせて考えて、ファローは『これ以上誰にも迷惑をかけない』ことを選びたいと考えます。

支えも、許しも、『これから償えばいい』と言われることもありましたが、ファローは自分を許せずにいました。
そんな折【正規の生徒・職員を向かわせるには危険すぎる時代】への一方通行の調査を知り、正規の職員でも生徒でもない、居候である自分であれば、色々な事が簡単に済むからと、ファローは至灰期への調査に立候補しました。

彼が手紙の最後で喜んでいたのは、自分やリリアのような”失敗作の人形族”にしかできない『誰にも変わる事のできない、自分たちだけの役割』を見つけたからです。

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