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(重要1-3) 1回目の感想を紹介します(現代ドラマ編)

 こんばんは、月影 夏樹です。前回に引き続き、現代ドラマの2作品目を紹介したいと思います。

作品名……「空蝉(うつせみ)」
作者名……野沢 響さま

             1 作品概要
 主人公と仲良くしていた従姉 由永(よしえ)の突然の訃報を知り、葬儀を行い親族や友人たち。そして葬儀を終えた1ヶ月後に由永の両親から連絡があり、彼女の荷物整理をする、という内容です。

             2 良かった点
(1) 主人公の回想録で話が進むストーリー展開で、終始「です・ます調」で進みます。テーマは重いですが文章も非常に丁寧で、全体的に柔らかく完成度の高い短編小説に仕上がったと思います
(2) 大切な人が亡くなったことによる、人間に心の微妙な様子を丁寧に表現されていると思います。
(3) 人が亡くなってから葬儀を終えるまでの流れについて、分かりやすくかつ簡潔にまとめています。私も以前身内を亡くし、同じような経験があります。まさに当初の記憶がよみがえった、そんな気持ちになりました。

             3 気になった点
(1) 主人公の名前が最後まで分かりませんでした。これはあえて、そのような作風に仕上げたのでしょうか?(感情移入しやすくするため、自分の名前に置き換えるとか?)

             4 総合評価
 作品の総合評価をする前に、私なりにこの作品について、意見を述べたいと思います。
 話の内容やタイトルからして、一件すると「空蝉」とは蝉の抜け殻のことを指しているかのように見えます。ですが私は「空蝉」が蝉の抜け殻ではなく、由永を亡くした主人公たちや親族、そして亡き彼女を想う友達のことだと思いました。
 実は「空蝉」という言葉にはもう一つ意味があり、それは『この世に生きる人』です。由永という大切な存在が亡くなったことで、周辺の人たちの心にぽっかりと穴が空いてしまいます。その心境を指すかのようなシーンが、終盤で表現されています。
 なので私は野沢さまが「空蝉」というタイトルについて、由永が好きだった蝉の抜け殻のことではなく、由永の亡き面影を追う親族や友達のことを比喩していると思いました。

 長々と話をしてしまいましたが、ここで改めて総合評価を出します。1万文字前後の短編小説でありながら、非常に考えさせることが多い作品に仕上がったと思います。
 今回「空蝉」のレビュー・フォローをさせていただきました。後でご確認をお願い致します。

 以上となります。なお次回の感想紹介については、11月23日(木)~11月25日(土)辺りに出来ればと思っております。

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