作中のことを解説するのも格好がつかないかなぁと思っていたのですが、「ここ気に入ってるから知ってほしい!」という気持ちもあったので、後書きを書いてみることにしました。
ネタバレを含みますので、気にならないという人以外の方はご注意ください。
●舞台設定
…何かしら仄暗い歴史のある田舎の山村。ホラーの定番ですよね。大好きです。
村民は山の恩恵を敬い慎ましく生きてきたのですが、狩谷家の利益最優先の指針に染まってしまった結果、一緒になって調子に乗ってしまいました。
●狩谷家
…大昔にはきちんと狩猟で生計を立てていたけど、狩猟で得た獲物が高く売れたので大地主になって金持ちになった結果、趣味や遊びで狩りを楽しむようになってしまいました。
その結果、山に住む他の命を尊ばなくなって滅ぼされました。
●野毛(のげ)と野獣(のけもの)
…やじゅうの読み方を変えて野(の)獣(けもの)、そこからさらに縮めてのけ→のげ(野毛)という言葉遊び。
無視された先住民=のけ者の意味も含めてます。こういう言葉遊び大好きです。
野毛の当主は母狛の実父とかではなく、山の先住民(鳥獣)のうちの一体です。
母狛の恨みを晴らしてあげたくて人に化けて協力しました。
●山狛
…山犬はもういろんなメディアにいるので、オリジナリティを出したくて狛にしてみました。
母狛が十三尺(3メートルくらい)なので赤子狛でも三尺(1メートルくらい)はあります。
上の子狛は弟が人間に食われたことは分かっていますが、詳しいことは分かっていないので母狛ほどの怒りや悲しみは持っていません。
狩谷当主の影を踏んで捕まえたのは「お母さんがまだ怒ってるでしょ!ちゃんと謝って!」という意思です。
●鳥獣たち
…弱肉強食の世界で生きているので、自分達が食べられることに関しては自然の摂理として受け入れています。
狩谷家と村民は、命を頂くことに対して最低限の礼儀も忘れてしまい(苦しませないために締める、生きるために必要な分以上は獲らないなど)好き勝手に狩り続けたので、怒りを買いました。
●「お世話になりました」と「お礼に参ります」
…真意は「あんときは息子が世話になったなぁ?!」と「お礼参りじゃあああ!!」です。これも言葉遊びのつもり。
●狩谷家の当主や村民は特別残虐だったのか?
…別にいたぶるのが好きということはなく、獲物は獲物としてしか見ていません。
例えば魚を活け造りにしてびちびちしてるのを「おっ活きがいいな!うまそう!」と思う感覚と同じです。
悪気はないんです。だからこそたちが悪い。人間の無意識の残酷さが出ていればいいなぁと思ったり。
以上、あとがきでした。
ここまで読んでくださった方がいましたら、ありがとうございます。