‘の’
2017/04/14に公開した『ジャパリの図書館』、微妙に後味悪かったので改稿しました。
博士と助手に合った可愛らしいオチにしたので、既に読了した方ももう一度読んでいただけたらさいわいです。
ボルヘスの無駄づかいが許されるのは伊藤計劃レベルになってからですね(反省)。
‘の’
一応、2017/04/14バージョンの差分もここに記載しておきます。
――助手と博士はたくさんルールをみつけましたが、まだ文字が読めません。
文字は何かのルールを持っているようですが、どんなルールを見つけても例外が出てきてしまうのでした。
博士と助手は落ち込んでいます。
「文字は難しいのです……」
博士と助手が文字を読めるようになるまで、もう少しかかりそうです。
「……博士、少しくらい例外があってもいいと思うです。文字には意味のなさそうなルールがたくさんありますが、そこに目をつむれば理解できそうなのです」
事実ふたりは、文字が音を表わすという仮説にたどり着いたのですから。
「それは考えたのです」
しかし……。
「ヒトはかしこい生き物なのです。わざわざ無意味なルールをつけ足すとは思えないです」
そして、博士はおそるおそる言いました。
「……無意味なルールがあるという事は、文字じたいが無意味なのでは……?」
‘の’
『わたしの知っている未開のちほーでは、司書たちは、書物の中に意味を求めるという迷信めいた空しい習慣をきらっている』
――ホルヘ・ルイス・ボルヘス『バベルの図書館』