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怪我をしたモネ、描いたバジール

オルセーに下のような絵があります。
日本語のタイトルは「病床のモネ」ですが、
彼は病気なのではなくて、怪我をして寝ているわけです。足を見てください。
赤くなっている部分がありますよね。

モネがパリから離れたある森で大作を描いていた時、フリスビーみたいなものが当たったかなんかで、怪我をしたのです。骨は折れていないので、打ち身ですよね。
モネが25歳で、これを描いたフレドリック・バジールは24歳でした。

バジールはパリから到着したばかり。モネは彼に何回も手紙を書いて来てもらったのです。彼にモデルになってほしかったからです。
ところで、この若いふたり、遊んじゃっていますよね。

バジールは医学生でもあったので、民宿を臨時病院にしたてて、こんな治療法を考えたのです。天井からぶら下がっている太鼓みたいな壺を見てください。
樽の底には穴があいていて、よく見ると、水が落ちています。それが、患部に当り、つまり冷やしているわけです。
その水は毛布に染みて、染みた水はベッドの下の陶器の器に。水が光っていますよね。その器がいっぱいになったら、バケツにいれて、また上の樽にいれるのでしょうか。

冷やしたタオルを患部にあてればいいことなのに、こんな方法だと、布団がべちゃべちゃになりますよね。
この絵は1865年に描かれました。(47x62cm)

若いふたりはこんなことをやって、この親友は久しぶりの再会を楽しんでいたのでしょう。青春ですよね。

この愉快なバジールはモネだけではなく、ルノワール達とも親交が厚く、彼らを援助したり、アトリエを使われたりしていました。彼も印象派の画家として期待されていたのに、28歳で亡くなってしまいました。

そのことをエッセイのほうに書いていきたいと思います。

2件のコメント

  • とても分かりやすくて面白いアート論評です。このような楽しいアートヒストリーの講義なら習った事いつまでも覚えていられます。
    楽しく教えて下さって有り難う。
  • これ、おもしろいですよね。
    あの背の高いバージルなら、水の入れ替えができたのかも。
    このバージルって、こんなふうに思いやりがあり、おもしろい人だったと思います。生きていたら、どんなスタイルの絵を創作したのでしょうね。
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