先日、James Ellroy "Perfidia" を読み終えました。
本作は新・暗黒のLA四部作の幕開けとなる長編小説で「背信の都」というタイトルで邦訳版も出版されています。「ブラック・ダリア」から始まる暗黒のLA四部作よりも時系列としては早く、真珠湾攻撃によって激化する日本人差別を背景に警察内部の腐敗を描いた、御大お得意のノワール巨編です。
本作では暗黒のLA四部作の登場人物たちが多数活躍しているので、最低でも「ブラック・ダリア」「ビッグ・ノーウェア」「L.A. コンフィデンシャル」あたりは読んでおくべきかと。アンダーワールドUSA三部作のキャラクターも登場しますが、ちょい役なので予習する必要はないと思います。まあ普通にめちゃくちゃ面白い小説なので海外ミステリが好きなら読んで損はないですけどね。
それにしてもジェイムズ・エルロイの文章は読みづらい! 少なくとも、自分の英語力ではかなりの難敵です。
でも、やっぱり格好良いんですよ。文体が。
エルロイ作品の翻訳を手掛ける方々はみなさん凄腕なので邦訳版も最高に面白いんですが、原書の文体でしか摂取できない栄養がたしかに存在しますからね。
ただ、繰り返しになりますが自分の英語力では本作の魅力を理解しきれないので、機会があれば邦訳版も読んでみたいところ。
そして続編の "This Storm" は果たして邦訳されるのか。「背信の都」がいまだに文庫化されていないことを考えると、なかなか厳しいかもしれませんね……。