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変異獣 咆哮獣《ハウラー》

 ハウラーは、曠野や壁外に生息する大型の変異獣で、その名はその独特な咆哮(howl)に由来している。ハウラーの咆哮は、人や他の生物を怯えさせ、混乱を引き起こすだけでなく、遠方の仲間や他の捕食者を呼び寄せる性質を持つため、非常に危険とされる。

 主な特徴:
 体格と外見: ハウラーの多くは身長が1メートル70から2メートル近いが、馬ほどの大型個体も確認されている。筋骨隆々の力強い四肢と分厚い漆黒の体毛、または硬質な外皮に覆われていることが多い。特に前肢は強靭で、人体や木製の扉を引き裂くほどの力を持つ。

 頭部と咆哮器官: 頭部は異様に大きく、口は鋭い牙で満ちている。喉元には特殊な音響器官が発達しており、この器官を震わせることで耳障りな咆哮を発する。ハウラーの咆哮は生物の聴覚に直接ダメージを与えることもあり、近距離では耳鳴りや失神を引き起こす場合もある。

 行動パターン: 単独で行動する場合もあるが、群れで襲来することが多い。特にハウラーの咆哮によって周辺の小型変異獣や動屍を引き寄せ、一種の突撃隊のような形で現れることもある。

 知性: 完全な動物的本能に支配されているが、奇襲を仕掛けたり、囲むような動きを見せるなど、ある程度の知性が伺える。

 脅威度: ハウラーは単体でも危険だが、最も恐れられるのは咆哮によって生じる混乱とそれに続く他の怪物の集団攻撃である。多くの居留地や村落では、ハウラーの群れの接近が確認されると即座に非常事態宣言が下される。

 その他:

 弱点: 厚い外皮に守られているが、喉元の咆哮器官や目は比較的柔らかく、効果的な攻撃箇所とされる。

 逸話: ハウラーを討伐し、毛皮や骨を加工した装備はかなりの高価で取引される。特に咆哮器官は、特殊な道具や武器に利用されることがあるため、ハンターにとっての格好の獲物でもある。
もし交易市に現れた場合、混乱を伴う大規模な騒動を引き起こし、人々の生存本能を試すような状況になることは間違いない。




 変異獣博士
「ハウラーの倒し方?AK-47で撃つんじゃよ。どんな怪物でもイチコロじゃぞい」




 霧が立ち込める夜、ミルザ居留地の警鐘がけたたましく鳴り響いた。見張り塔の兵士が震えた声で叫ぶ。「咆哮獣!壁の外に咆哮獣が現れた!」

 住人たちは即座に家へと閉じこもって、扉を固く閉めた。
 銃器やクロスボウ、弓や槍を手にした守備隊が防壁の上に急行する。

 乳白色の霧の彼方から低く響き渡る咆哮が地を揺らしている。
 地を這うような重低音が居留地全体を揺るがし、兵士たちは思わず耳を押さえる。次の瞬間、ぬっと霧を割いて小型自動車程の巨体が現れた。信じられない程に巨大な漆黒の咆哮獣が、悪意に満ちた目で人間どもを凝視しながら異形の体躯を丸めて壁に向かって突進してくる。

「狙え!喉元を狙え!」誰かが叫ぶが、兵士たちは耳鳴りで動揺し、そして引き金を引く手も震えていた。一部晴れた霧の向こう側。咆哮獣の雄叫びに、遠方から小型の同類や親戚の変異獣が次々と集まり始めているのが見えた。

 絶望的な状況にすすり泣く兵士もいた。その時、一人の草臥れた狩人が壁の上に駆け上がった。手には古びたAK-47。草臥れた狩人は迷うことなく構え、一発、二発と喉元を狙って弾丸を撃ち込んだ。動き続ける咆哮獣の素早さに命中させるのは容易ではないが、しかし、狩人はやってのけた。巨大さ故に咆哮獣の動きは通常よりやや鈍く、弱点である喉も狙い易かったのか。

 咆哮獣の巨体がぐらつき、苦し気な悲鳴を上げながら地へと崩れ落ちた。続く弾丸が正確に目を貫き、とどめを刺した。

 一瞬の静寂が訪れ、次の瞬間、近場の兵士たちが草臥れた狩人を見上げて歓声を上げた。しかし、狩人の表情はなおも強張っている。

 霧の向こう側から恐ろしい数の足音が響いてくる。咆哮獣の呼び寄せたその同類たちが今にも居留地へと押し寄せてこようとしている。

 恐怖の夜は始まったばかりだ……



 博士の助手
「大きくても馬くらいって言ってたじゃないですか、やだー
 ぁ……ぁ……ぁ……ぷちゅん」

2件のコメント

  • AK74ではだめですか?(メトロ住人感)
  • ……駄目なんや。あるところにはあるけど、滅多にないです。

    近況ノートに銃事情を書いてみた。元々は、没ネタだけど。

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