三角海域

詩の世界に没頭する彼は、Ｌと彼について想う。

ある一日、そんなものだ。

夫婦の会話、その数分と、その終わり。

最愛の人を亡くし、心を閉ざし、感情と自分を切り離してしまった男、居山。 絵を描き続け、その世界に逃げ込む彼のもとへ、一人の男性が訪ねてくる。

旅する男は旅を続けていた。いつごろから旅を続けているのかは誰も知らない。ただ男が旅をしているということだけは誰もが知っていた。男の顔すら誰も知らない。ただその存在だけは誰もが知っ…

ふとした偶然の出会い。その出会いはいつしか少年の初恋へと変わった。 彼女は遠くをめざし、旅立った。ここではないここへ。 残された少年は成長し、彼女のために歌を残す。

雨宿りのために立ち寄ったボウリング場での誰かにとっては些細な出来事。二人にとっては、なにかの始まりの兆し。

まじめでおとなしく、そして無能な彼。映画や本だけを愛す彼について、私が語る。

退屈な船旅の中で、一人の男との会話。男は、暇と退屈の違いを語る。

雨の日の出会い。彼女は不思議な女性だった。夢のようにも思える時間の中で、男は色を見つける。

ある一人の男は、自らの過去を振り返りながら手紙を書いた。

週末の夜。一人暮らしをしている兄のもとへ妹から電話がかかってくる。 日常的な会話をしながら、兄はふと過去を振り返る。

ジャッキー・チェンに憧れ拳法を習っている少女倉田遥。ある時、遥は男に固まれている女性柳瀬芳乃を助ける。 遥は芳乃のボディーガードのようなものをすることになり、少しずつ二人は心の距…

彼女を亡くし、魂を無くした男は、夜な夜な彼女を声を求めて歩いている。 ある夜、彼は自分と同じく何かを無くした人々と出会う。

ある人物に雇われている男。すでに捨てた名の代わりにモグラと呼ばれるその男は、ある依頼をうける。

友人の彼は、感情のままに小説を書き続けている。 ある時、彼はひとりの作家について語り始める。 それは、こことは違う世界を垣間見ることへの羨望だった。

雨音が呼び起こすのは、僅かだが濃い思い出。青年時代の近くまた遠い過去の恋。

かつて聞いた歌声み魅せられた一人の男は、今でもその面影を追い続けている。

夕景に惹きつけられるように立ち止まった男。男は、ひとりの老人と出会い、成り行きで老人の家に向かうことになる。

バーに出向いた男は過去に思いをはせ、これから先の未来へ歩き出す。 たとえそれが、思い描いたものと違うとしても。

公安に所属する男は命令をうけてある人物とバーで接触する。国の暗部にかかわったその人物には傷があり、その傷に触れることで、公安の男も自らの思いを語り始める。

決まった時間に公園を訪れる老人。男は、その老人の目に「男」を感じ、話しかけることにするが……。

かつて夢見たことにすがりながら、中途半端に生きる青年。あるとき、そんな自分に嫌気がさし涙を流していると、出来のいい双子の妹が帰ってきて……。