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  • エッセイ・ノンフィクション

その11「バイブレーション」

夜8時半以降は携帯をバイブレーションにしている。
息子を寝かしつけていると携帯がブルブルっとなった。
息子が寝てから携帯をチェックすると、誰からのテキストもメールもなかった。
あまりに立て続けに起きる現象に私はなれつつある。

そのうち彼の声が聞こえ出すんじゃないだろうかと感じる。

随分昔。
父親の介護をしていた。
父は寝たきりだった為、ベッドで動く度にわかるようにと、ぬいぐるみの白熊の首に鈴をつけて父の手に握らせていた。
父が亡くなり、お通やの夜から私はこの鈴の音を聞くこととなった。
一緒に過ごしてくれた親友にも、夜中この鈴の音を聞いた時叩き起こしたが
彼女には聞こえなかった。
義理の妹にも私がこの鈴の音を聞いた時叩き起こしたが、聞こえなかった。
晩御飯を食べている時にまた鈴の音を聞いた。これは私以外、兄も聞こえた。

私は怖くなり、父にお願いした。
怖くて仕方ないので、もう鈴を鳴らさないで欲しいと。
すると鈴の音はピタリと聞こえなくなった。

義理の妹のお母さんが言った。
心の綺麗な人は亡くなった人が49日の法要が終わるまでの間に
そういった音や何かを感じることができるそうだ。

私はそういう経験をしているので、不思議な現象が起きても
その存在を信じてしまうのだ。

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