三章までで世界観の紹介や主要キャラクターの顔見せはあらかた完了しましたので、次章からは「あやし者を知る」ターンとなります。
萩のあやし者たちが、何を思い、何を望み、どのように生きているのか。どうか理桜と同じ視点で、理解を深めていっていただけると嬉しいです。
以下、これまでのところで史実と大きく時系列が乖離している点について、少しだけ補足をさせていただきます。
・不平等条約の締結について
史実において不平等条約とされる日米修好通商条約の締結は1858年。ペリー来航が1853年なので、約5年後となります。
一方本作では、異国船の最初の来訪時にすぐ、不平等条約を結ばされた形となっています。
本作においては、史実における技術力の差に加え、「あやし者の力を活用するか否か」でも大きな戦力差が異国と日ノ元の間には存在します。そのうえ日ノ元は異国から「あやし者を迫害する野蛮な国」と見なされています。
このため異国は日ノ元相手に、史実よりも最初から高圧的に接し、一方的に無理矢理条約を結ばせた設定となっています。
・神選組の設定に関して
この物語のスタートは、1862年の春。一方、史実の新撰組の歴史を辿ると、浪士組が江戸で結成されたのが1863年2月、京都に到着し壬生浪士組となったのが同年3月、「新撰組」の名で活動するようになったのが同年9月です。
つまり、1862年の段階で「神選組が設立されて既に時が経っている」とする本作の設定は、史実とは大幅にずれたものとなっています。
これについてですが、史実の浪士組は将軍の上洛警護の目的で結成されたものです。一方で本作における神選組は、活動的になったあやし者の狩り手が足りなくなったため、本来狩人としては登用されない人間を集めた組織、という設定となっています。
活動的になったあやし者を狩るための組織でありながら、あやし者の動きが活発になった黒船来航直後から10年経っての結成とすることには違和感があり、世界観設定に合わせた結成年を採用しています。あくまでも本作は歴史をモチーフにした和風ファンタジーですので、ご容赦ください。
しばらくは萩の皆さんのターンとなり、沖田先輩や斎藤くん、勝先生は登場しませんが。
彼らにも物語の後半で大きな役割がありますので、どうぞ気長にお待ちくださいませ。