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√Mira完結による作者の長い長い裏話

 遂に√Miraが完結致しました。読んでくださった皆様、特に最初期に校閲を担当してくれたMさん。本当にありがとうございました。
 この作品の構想は私が中学3年生の時に練っていた旧題「Carst World」を形にしたものです。執筆期間は5年。そのうち最初の4年間は1章の内容を何度も書いていました(笑) 最初の頃は日本語が極めて酷く、Mさんには「これは日本語ではない」と言われる始末だったり…… そのため、ある程度文章力を鍛えてからこの作品は書くべきだと思い、高校3年の受験鬱状態の中で「鎖」「春の亡霊」の2作品を書き上げることとなりました。そこから今年の、2021年初めにMさんに「今年で第二部を完結させる」ということを伝え、見事同年11月に書き上げることができました。
 この作品は私の理想のヒロインが幸せになるストーリー、音波琴葉が幸せになるためのストーリーとして発案しました。作品を作り始めた中学3年生当初は頭脳系の学園モノで階級を奪い合うという設定にしたかったのですが、作者の低学歴が祟り、到底書けるものではないと挫折し、今のバトル系に移行したという経緯があります。余談ではありますが、高校に入学してから「ようこそ実力至上主義の教室へ」というラノベに出会い、私が書きたかったのはこれだったのだなと思わされました。毎巻楽しく読ませていただいております、私は軽井沢恵をとてつもなく推しておりますので退学とか破局とか勘弁してください……
 話が逸れてしまいましたが、最初期は4章構成となっており、玲一が姉である藤宮初音を追って学園に入学し、そこで音波琴葉と出会い、皇帝である天清麗華を倒し、その上で姉の仇敵である天清麗奈との決戦に挑むというとても今とは考えつかないシンプルな対立構造となっていました。その時から桐生時雨や西条春樹、八尾瑞樹や東緋鞠(当時は東明奈という名前でしたが、有名人にいるらしいので没)、巫遥香(当時は王山という苗字でしたが、ダサすぎるので没)また彩珠瑛瑠が存在しており、特に彩はメインヒロインとして活躍させるつもりでした。しかし、あまりにも簡素な対立構造が嫌だったため、第2案ではライバル勢力として天鯨学園が登場し、天狼VS天鯨という今作でいうところの3章に当たる骨組みが追加されました。ちなみに当時の構想だと有力生徒同士が戦い、勝ち抜いていくというこれまた簡素なストーリーでした。続く第3案(何案あるんだよと思う人、ご安心ください。第7案ぐらいまであります)では遂に理事会が登場することになります。これによって、一気にストーリーの複雑さが増し、学園を統括する側の組織として必然的にラスボスとしての立ち位置を確立することとなります。この時点で天狼の実質的権力者であった西条、天鯨の主戦力であった出雲と神宮寺(当時は天王寺という名前でしたが、なんか嫌だったので没)、玲一と初音、そして、当時は麗奈と麗華も理事会出身という設定でした。この時点でのストーリー構成は学園で西条派を倒すがその道中で琴葉が昏睡状態に、危惧した理事会が天鯨を差し向け、玲一が覚醒。その後、最終決戦直前で琴葉が目覚め、理事会と戦い、理事長を倒した後、麗奈が真のラスボスとして立ちはだかるというストーリー構成でした。これでストーリーは決まり、いざ書こうと思ったのですが、書いている間に次々と矛盾することが起きていきます。(ちなみに当時中3です)特に理事会が弱すぎるというのは明確でした。そのため、第4案では大幅な変更が行われました。使徒及び黒幕の存在、魔術組織月影の存在、そして、原初十二柱。これらによって、物語は三部作へと変貌し、更に複雑になっていきます。ここからはかなり迷走期なのでざっくり行きますが、未来で戦うという案(第3部の案ではありましたが玲一との折り合いが付けづらいので却下)、琴葉が敵になる案(そんな必要はないので却下)、東がよう分からん天鯨の生徒と恋仲になる案(一部は受け継ぎましたが、却下)を踏まえ、第7案に入ります。前述の第4案〜6案の間はほとんど妄想が進むだけで、2年の月日が流れました。ここまで来ると、私もさすがに危機感がありました。設定だけが先行してストーリーが書けない、そもそもストーリーとして完成するのだろうか、と。そこで書いたのが最初の方に述べた2作品となります。この2つの作品により、ストーリー構成や設定の作り方を磨くことが出来たと思います。
 そして、第7案では全てを再構築するということを念頭に置き、今までの設定を組み替えていきました。まず、ここまでの設定における最大の弱点は天蓮玲一という主人公像が作者の中で確立していないことにありました。記憶喪失設定は最初の時点からあったのですが、何を思い出すのか、昔の彼はどういう性格なのかというものが欠けており、人間らしくなかったのです。そこで重要視したのは彼の実の姉である藤宮初音の存在です。初音は天真爛漫な性格でいつも前向きで、まっすぐに自分の正義を貫くというキャラクター性ですが、悲願を達成することなく死を迎えます。では、どういう人物なら階級制度や理事会を瓦解させることが出来るのか。それはきっとひたむきな理想がありながらもそれを達成するための慈愛と冷酷さを併せ持った人物、一言で言えば、自分を殺せる人物であるという結論に至りました。これと記憶喪失を組み合わせることで、最初はひたむきに前向きに走っていた玲一が琴葉の死によって挫折し、階級制度封鎖後の虚無感から戦闘狂へと身を落とし、壊れていく。その後、自分の過去に向き合い、琴葉との対話によって押され、真の意味での正義を確立していくという展開に至りました。これが去年、書き始める前に私が練っていた構成です。そこから、いざ書いてみると思ったより整合性が取れない部分が見つかり、天鯨との戦いでは代表戦から巨大なフィールドを用いた戦争にしたり、彩をメインヒロインからモブに降格させたり、7章を天清派との戦いから討伐隊との戦いへと変更することになりました。それは物語の都合上変えるものであったため、正直微々たるものでした。しかし、そんな私もかつてないほど悩んだ展開があります。それは音波琴葉の復活です。最初に書いた通り、この作品はヒロインである琴葉が幸せになるためのストーリーというのが基本方針でした。そんな彼女が死なせるか、生かすかというのはかなり重要なポイントでした。そして、1ヶ月ほど悩んだ結果殺すという選択肢を取る事になります。それは玲一を主人公として確立させるために必要なことであり、後の展開を見据えた結果の苦渋の決断でした。作者的には玲一×琴葉のSSや夢絵は大歓迎ですので、奮って送り付けくだされば幸いです(笑)
 ここまで長々と書いてきましたが、ここからは天清麗奈を主人公とした第1部「√Mira/Lunar Eclipse」の連載、それが終わったら黒幕との決戦が描かれる第3部の連載が始まっていきます!今作はここで終わりですが、シリーズとしてはまだまだ続いていきますので、ぜひぜひよろしくお願いします!

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