ピーター・ラウゼイ『殿下とパリの美女』(『BERTUE AND THE CRIME OF PASSION』1995年 早川書房)読了。
アレックス・パヴェージ『第八の探偵』の中で、探偵小説は(殺人というテーマを扱っているが故に)ハッピーエンドでは終わらない、という論がされている。
この作品も苦い終わりになる。
主人公のエドワード皇太子は迷う方の迷探偵で、周り(妻とか秘書とか)から探偵活動をやめるように言われている。(しかし、やる)
だが、この作品に関しては殿下が(ほぼ見当違いの方向に進みながらも、最後には)真相を言い当てなければ、自体はより苦い方向へと進んだだろう。最終的には苦みを含みながらも、そのなかでもっとも良い方向へと進んだ。(無実の罪を着せられた人物も、最終的にはそれに報いられたと思う)
まぁ、性急に進められた婚約が無ければ一切の悲劇は無かった気がするが。それは殿下にはどうしようもない。