リリアン・J・ブラウン『猫は床下にもぐる』(『THE CAT WHO WENT UNDERGROUND』1993年 早川書房)読了。
ミステリーのネタバレは厳禁だが、ちょっとネタバレする。
ミステリーの重大な真相というのはさりげなく隠されているのが一般的で、別のアリバイの話をする時にさりげなく語られたり、別の事実を組み合わせることで意味を持つ情報になったりする。
ところが時にはそれが無造作に転がされていたりする。
この作品もそうで、事件の真相はずばり書かれている。それ以外になんか過去の因縁らしき物事なんかをほのめかしているのだが、真相はそれとは別にある。
モグリの大工、修理業者を独占派遣しているグリンコ・ネットワーク、避暑客を憎む無法者の一団、などなど、舞台となる避暑地ムースヴィルはカオスである。