弘法大師は宝亀五年(774年)六月十五日、讃岐国の屏風ガ浦(香川県善通寺市)で真魚としてお生れになりました。讃岐の郡司の家系に生まれたお父さまは佐伯直田公(さえきのあたいたぎみ)、お母さまは玉依御前(たまよりごぜん)という。
.......信仰心の厚い家柄であったらしい。ある日のこと、お父さまとお母さまが、「天竺(インド)のお坊さんが紫色に輝く雲に乗って、お母さまのふところに入られる」という夢を同時にみられ、真魚さまがお生れになられたそうだ。
この真魚が後の空海上人(くうかいしょうにん)、弘法大師だったそうである。
仏教ではこういうお立場にあられる人はかならず女人が霊夢を見てからそこに懐かれる。