堀島絢香は妹の香那美とともに、『夢』のようでいてそうではないような不思議な世界にいた。 ただただ真っ白な世界かと思いきや、突然現れたマリノと名乗る赤髪の青年が言う。 「ここは、…

「重大な発表がある」ということで大勢の記者が集められたのは、人里離れたところにある研究施設だった。 どうにも怪しげな黒服に身を包んだ研究者と名乗る男は、会見場に現れるなり、こう言…

街のスーパーの片隅に設置された証明写真撮影の機械。 大きな撮影機械の毒々しい見た目に吸い寄せられるようにやってきた人たちには、それぞれの命の証がある。

自分とどこか似た匂いのする同級生と話したとき、少女はこのセカイから出て行きたいと思った。 当然とも言えるように、その口数の少ない同級生も話に乗る。 そうして迎えた決行の日の、その…

大通沿いにあるこの古書店にはいつもコーヒーの香りが漂っている。 口数は多くないものの、人当たり自体は悪くない店主が煎れるコーヒーを飲みながら、今日も相談に来る人がいる。 そんな風…

前時代的なネーミングセンスで『ハイパープレイクスルー』と名付けられた技術革新はこの世界を大きく変えた。 もちろん便利で安全になったとは言えるのだが、それは別の側面から見れば不便で…

※同題異話３月号「六花とけて、君よ来い」参加作品 URL: https://kakuyomu.jp/user_events/16817330653848994876

20XX年、突如現れたUFOによってすべての地球人は叛乱を受ける。 そう、『自らの中からの叛乱』を。

　雪の降る海街・函咲市《かんざきし》に住む高校生・東雲夏月《しののめ・なつき》は、小雪の舞う日曜日の夕方に海を望む教会の近くでいつものその時分ならば鳴るはずのない鐘の音を聞き、そ…