バイセクシャルの複数婚。そんな家庭は他にはいない。
五歳の息子が聞いてきた。
「うちは普通じゃないの?」
親たちはバイセクシャルだ。だが、子供は違うだろう。
「どうしてそう思うの?」
「みんな、すごいねって言うから……」
それは意味を取り違えている。
「パパとママの人数が多いから、すごいねって言ってるんだよ」
「ん」
「普通って何? みんなそれぞれに普通があるんだよね? だから、自分の普通で、他の人が普通とか違うとかは測れないんじゃないかな?」
「ふーん」
相変わらず、リアクションが薄い息子。
「この間だって、テーマパーク行った時、隣の席に座った知らない男の子が話しかけてきたよね? 君の家はパパとママがいっぱいいるんだねって」
「ん」
「それで、友達になったんでしょ? それって、いい意味で普通じゃないんじゃないかな?」
差別も悪もない世界で、
視野を狭くせず、自身の気持ちを偽らずに生きていってほしいと願う。