現在執筆中の「王の夢 幾万の夢」は、物語の設定上、カタカナ用語を使わずに書いています。
現代社会はリスペクトだのオマージュだのコンセンサスだのバイアスだのクラスターだのオーバーシュートだの、
カタカナ用語てんこもり。
わたくし、最初に「リスケ」と聞いたときは何かと思いましたですよ。
そんな感じで、世の中、
日本語でいいじゃん!
と言いたくなる言葉に溢れているわけですが、そんな言葉は昔は無かったので、
カタカナ用語を使わなくても文章は書ける!
と思っていたわけです。
が、しかし。
これが想像以上に大変。
「男はガラスのグラスに手を伸ばした」
これ、ダメです。カタカナ用語です。
「シャツを脱ぎ、ズボンに手を伸ばす」
これもダメ。
「朝食はパンでいい?シャワー先に浴びる?それとも(以下略)」
これもダメ。
「パソコンのスイッチを入れ、マウスを数回クリックする」
これも論外でダメ。
あれもダメ、これもダメ、それもダメ。
ああ、なんと世の中、カタカナ語に溢れているのでございましょう!
ちんぷんかんぷんな現代カタカナ語だけでなく、外来語は日常生活の中に当たり前のようにあるわけで、
これを使わないとなると超大変。
このカタカナ語は日本語(和語)だと何になるのよ!!!
と調べながら書きはじめ、やめれば良かった、と最大級に後悔したのが度量衡《どりょうこう》。
つまり、距離、長さ、重さ。
「男の身長は1メートル80センチ。体重は90キロ近くあるだろうか。その男が100メートル前方からこちらに向かってくる」
これ、ダメ。ぜ~~んぶダメ。単位がすべてカタカナ用語。
開き直って<登場人物の台詞内だけカタカナ語禁止>にしようかと思いましたが、それだとなんか、やっぱり世界観が統一されていない感じ。
なので「王の夢 幾万の夢」では、ジャパニーズ尺寸法を持ち出してみましたが、使い慣れない単位なのでこれまた大変。
読む方も分かり辛いですし、苦肉の策として尺寸法は「6尺|(約10メートル)」のようにカッコ書きでメートル法の記載もしてみましたが、果たしてこれが良いのかどうなのか。
つまり、何が言いたいかと言いますと、
無理しなきゃ良かった、と。
「ある魔術師の伝説」のほうは無理してないので、書くのがスゲー楽。
なんでもかんでもカタカナ語にされるとワケが分かりませんが、
今更カタカナ語を使わない、というのも無理なんだな、と思った次第。
オチが無くなりましたが、そんなこんなを考えると、
古代とか中世とか、中華風とか、
そういう時代モノを書ききれる人ってすごいな、ということで。
ワタクシモ ガンバリマス。