とある独裁国についての妄想

いつもごらんいただき、ありがとうございます。

これから書くことは私が想像し、架空の独裁国が行き着く果てについて妄想した、ざっくりとしたお話です。飽くまで妄想ですので、お読みになる方はその前提でお願いします。

その国は広大な国土と多数の人口を誇る、世界でも屈指の大国でした。
長い歴史と文化を持ち、誇り高く英明で働き者な国民性でした。
時代が流れてその国が近代化を迎えた頃、国は混乱の極みにあり、複数の政治勢力へ分裂していました。

それらを統一したのは、新しい政治思想でした。古くからの王侯貴族を否定して平等な社会を目指したこの政治思想は、強力な権限を持つ政府を構成し、独裁国となったのでした。
選挙など存在しない独裁支配の国ですが、独裁故のメリットもあります。
国が統一され、近代化と高度経済成長を迎えるにあたり、政府主導で不断の努力を続けました。統制経済だった自国に資本主義経済を取り入れる柔軟性で、飛躍的な経済発展を遂げたのです。

ここまでは良かったのですが……経済的に富んでいった一方で、絶対的な権力を持つ独裁政権は腐敗していきます。資本主義経済を取り入れたとはいえ、統制経済の名残で実質的な国営企業が存在し、政府関係者や官僚、地方の政治家たちも私腹を肥やすのが当たり前となっていきました。
成功する者は利己主義を貫き通し、社会における格差も増大していきました。

永遠に続くかと思われた経済発展でしたが、それもついには頭打ちの時を迎えます。経済が低迷しただけでなく、災害が起きた時に為政者たちは、国民の生活を守ることを最優先としませんでした。

独裁国は崩壊の危機に直面します。
この後、為政者たちはどうするのか。
多くの権力者――政治家、官僚、富裕層は財産を抱え、国外へ逃亡しました。私財を肥やしてしゃぶり尽くした母国に対して、彼らは未練もありませんでした。

愛国心のある者は革命を叫び、権力者との対決による社会の改革を試みました。
別のある者は混乱の中で野心を露わにし、大国の一部に自らの支配領域を確立し、分離独立を果たします。
そうして独裁国は分裂していきます。肥大化した大国のなれの果て、歪んだ統制社会の崩壊に世界は安堵しますが、それだけで済むのでしょうか。

仮にこの独裁国(複数の国に分裂)が民主化したとしても、独裁政権時の価値観はすぐに消えません。新たな権力者たちは自分に都合の良いルールを作ったり、ルールを守らないことで自らの利益を確保しようとします(この動き・考え方は民衆の間にも浸透し、成功を欲する者は秩序を守るのではなく、秩序を無視することで利益を得ようとしました)。

国民主権であれ、立憲君主制であれ、民主主義の社会に生きてきた人間にとって、選挙の公正性は最も大切なものという価値観を持っています。
が、それ以外の政治制度の社会で生きてきた人からすれば、選挙など手軽に権力を奪える制度なのかもしれません。不正な得票操作や買票行為をすれば、誰でも権力者となれるのですから。

この独裁国が分裂して民主主義国家という看板を掲げても、民主主義の国々とは容易に相容れられないのではないでしょうか。
この辺りは20世紀の終わり近くに、大陸北方にあった社会主義の大国から分裂した国々がどうなっているか、調べてみると良いかもしれませんね。

以上、架空の独裁国についての壮大な妄想でした。
※すべてフィクションであり、実在するいかなる国家・団体とも無関係です。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する