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「黒い雨」井伏鱒二を読んで 夏は戦争を回顧する季節なのかもしれない

美術学校に通うほど絵が好きだった氏の作品は、氏の絵を描くかのような圧倒的な観察力によって、非常に細かくあらゆる描写が文章化されている印象を受けた。その表現力を持って書かれた「黒い雨」は、戦時中の人々の様子が痛々しいほどリアルに見えた。

原爆の被害を受けた広島が舞台。当時の人々は原爆が何なのかも知らない。得体の知れない病と闘いだった。そんな大きな被害を受けてもなお人々は戦争に負けることを全く予想していなかった。終戦を伝える玉音放送の描写は痛烈なものだった。

私たちは戦争を知らない世代である。ただ、知らないからこそ知ろうとしなければならない義務があると私は考える。そんなことがきっかけで手に取った本であったが、実際に読んでみて改めて戦争の過酷さ、惨さを感じることができた。

靖国問題が浮上する昨今。改めて日本人は太平洋戦争をあらゆる角度から学び直す必要があるだろう。

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