正直なところ、わたしなんて「物書き」じゃない。自分が書いているものを「小説」なんて公言しようものなら、人前で笑われるのがオチだし、「この人、一体なに言ってるの?」って呆れられるに決まっている。そんな恥ずかしいこと、怖くて口にすらできない。
それに、わたしが綴っているのは所詮ただの妄想で、面白みなんて微塵もない。読んでくれる人を楽しませる工夫なんて思いつかないし、そんな器用さや知恵も持ち合わせていない。結局は、自分ひとりが満足するためだけに、好き勝手な言葉をつなぎ合わせて、その小さな内側の世界にひっそりと浸っているだけなのだ。
思い返せば、そこに並ぶキャラクターは軽薄で、展開は先が読めるほど平坦な予定調和。安っぽいお涙ちょうだいに、押し付けがましい感動らしきものを上塗りしているだけで、世界観なんて底が浅くて見え透いている。華やかな衣装を羽織らせているつもりでも、中身は空っぽ。欠点なんて挙げればキリがない。
だから、もしも奇跡的に、わたしのこんなつまらない文章を追いかけている奇特な人がいるなら、お願いだから、そんな「ゴミ」みたいなものは読まないでほしい。あなたが大切にすべき時間を、こんな無益で味気ない文字の羅列に費やす必要なんて、どこにもないのだから。あなたには、もっと豊かで、心に染み込むような何かがきっと他にあるはず――それを見つけてほしい。