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ミツルのあざと紋章と

デルワーズとマウザーグレイルの性質について

 デルワーズとマウザーグレイルは、組み合わさることで「ファイブスター・ストーリーズ」のアマテラスやラキシスのような、“時を遡る” “別世界へ飛ぶ” といった高度な時空間干渉能力を持つ存在と同列に語ることができる。

 しかし、彼らは「神」ではないため、無から有を創造したり、世界そのものを改変するといった絶対的な権能は有していない。

 つまり、彼らは「世界の法則をある程度超越した情報処理能力や時空間への干渉力」を備えているが、根源的な創造や再編成は不可能である。

 これは、いわば「準神的」な高次存在――強大な技術や魔術が生み出した超生命体、もしくは高度情報存在、あるいは思念体のようなものであり、「神話的なるもの」ではなく「異世界間を渡る特殊な高次生命」と捉えるべきだろう。


ミツルの痣(紋章)とデルワーズの関係
 ミツルの腹部に刻まれた奇妙な痣――その紋章は、デルワーズと結びついている可能性が示唆されている。

 しかし同時に、この紋章は「敵」によって付与された烙印であり、意図的な情報操作の介在も考えられる。紋章を介した幻視や精神干渉が可能であれば、ミツルをめぐる見えない綱引きが、水面下で行われている可能性もある。

 この紋章が、多義的な意味を帯びたシンボルとして、デルワーズ陣営と「敵」陣営の双方が仕掛けを施す戦場となっているのかもしれない。


幻視現象の由来
 ミツルが見た幻視が、マウザーグレイルやデルワーズ由来でないならば、それは「敵」側が紋章を通じてミツルへ干渉している可能性がある。また、紋章そのものが異なる世界線や時間軸へのアクセスキーとなり、過去の出来事や異界の断片を垣間見せたとも考えられる。

 デルワーズはすでに肉体を失い、精霊子の集合体「精霊器」となっているため、情報的存在として紋章経由で映像を送り込むことも理論上はあり得る。

 しかし、「巫女をベースに戦うために作られた」デルワーズ同様、ミツルは巫女的な資質を喪失しており、言霊を聞くことができないため、そのような直接的情報伝達は不可能。

 これがミツルを極めて「情報不足」な状態に陥れ、謎の探求へと駆り立てる一因となっている。

 よって、現在の幻視は「敵」側が送り込んだ情報である可能性が高く、その信ぴょう性や真実性はミツル自身が判断できず、物語の謎として立ちふさがることになる。



おまけ:別世界での法則――生体転移の排除
 「転移は別世界で異質として排除される」という法則があるため、高度な意思体であるデルワーズですら、精霊子に分解されるという形でしか、「私たちのいる世界」に留まれなかった。

 そのことは、デルワーズの到来が計画的ではなく、突発的な事故もしくは想定外の事態であったことを示唆している。

 結果として、デルワーズは自己再生と生存のために、こちらの世界で「深淵の血族」を作り出すしかなかった。深淵の血族とは、デルワーズの情報片を受容できる「適応体」、すなわち宿主や依代のような存在である。

 こうした背景を踏まえると、デルワーズは世界と世界の狭間で「敵」と戦い続けていたことがわかる。そして「敵」が現実世界(特にバルファ世界)へと手を伸ばしそうになるたび、その世界を守るために「巫女と騎士」という代行者――世界の救世主――が求める構図が浮かび上がるのである。

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