• 異世界ファンタジー

デルワーズと巫女の違いと二本の聖剣

「デルワーズ」
 システム・バルファによって、精霊族の純粋な巫女の遺伝子(規格外の精霊子への感受性を持つ)を取り入れ、その能力を限界まで引き出す個体として設計されています。リミッターが無くて、器の容量は無限大とも。

 そのために安全装置であるマウザーグレイルが必須になります。これは霊的接続に依る外部リミッターともいえます。

 精霊族の巫女の血統はリーディス王家に受け継がれていますが、実は……デルワーズが元です。しかしながら、その因子が後の巫女には発現することはなかったのです。

 そして、巫女は必ずデルワーズと同じ黒髪と透き通った緑の瞳の持ち主として生まれます。彼女たちが生まれると、必ず何らかの厄災が訪れるため、不吉の象徴にされてしまいます。この因果には何かが関わっています。

 メイレアも同様でした。そのミツルは、なぜかデルワーズの因子を色濃く発現させています。

 巫女とデルワーズの違いは、巫女が精霊子を集める器でしかなく、剣と接続できても攻撃的な術式は使えないことです。

 対してデルワーズとミツルは、精霊子を集めて攻撃できますが、声は聞けません。戦闘特化です。

 現在のデルワーズは、もはや肉体を持ちませんので、自分では戦えません。そこで代々の巫女に言霊を授けて、気まぐ転移するマウザーグレイルを探させることにしました。

 それだけではなく、彼女は過去にもう一本の聖剣を用意しました。それは元々は他の同型の門徒たちが使っていたもので、すでに中身はがらんどうです。ただし、その剣は近接用に特化していて、斬ることが出来ます。

 こうして巫女は選ばれた騎士とともに聖剣を探します。

 扉を開けてのメイヴィスとウォルターのように。そして、現れた聖剣は二振りでした。

 一本がマウザーグレイル。これは巫女が精霊子を集めて安定運用させるための剣。

 もう一本がガイザルグレイルという、巫女が集めた精霊子とマウザーグレイルの助けを借りて限定展開される場裏と現象を纏わせて戦う剣です。

 ガイザルグレイルに斬れないものはこの世に存在せず、そこに場裏による精霊魔術が付与されます。つまりエンチャントです。

 巫女が力を集めて騎士が斬るという構図が完成します。

 マウザーグレイルは役目を終えると転移してしまいますが、ガイザルグレイルだけはリーディ王家に残されます。これが偽物の聖剣とされていたあれです。

 その剣は今ヴィルが持ちます。

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