• 異世界ファンタジー
  • 現代ドラマ

第51話 翠玉と黒曜 ③ 執筆途中2

 まずおれたちが行ったのは、フィリスの機動力を削ぐ練習だった。タイミングを考え、広範囲の魔術でフィリスの障壁を誘う。一度でも障壁を張らせれば、魔術師は自らの魔術を信じるためにも、障壁からそう簡単には出れなくなる。そうなれば純粋な魔術勝負に持ち込める可能性が高い。
 巨大な暴風はもうフィリスのすぐそこまで迫っていた。ここにきてようやく、この風がフィリスを飲み込んだ後どうなるのかという想像に至った観客たちが、歓声の代わりに悲鳴を上げ始めた。
 彼らの悲鳴が指すように、もう回避行動でどうにかなるタイミングはとっくに過ぎているのだ。障壁を使うか、もしくはカレンシアのように、さらに強い攻撃魔術で対抗するしか道はない。
 だが、フィリスは眉一つ変えず、手に持った細剣の刃で、脇に立ててあった巨大な杖の柄を叩いた。
 不思議と音は一切聞こえなかった。その代わり、杖を起点とした

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する