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旧バイト女子第3話:いわゆる~、ひとつの~、悪魔的な?


地球で健全にお過ごしの皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

私こと浮浪児ミユは、只今絶賛住居不法侵入中です。この世界では捕まれば多分児童相談所とかの生易しい所はでなく、そのまま牢屋入りか奴隷で売り飛ばされて手慰みに〇×〇×されてしまいますぅ~


冗談はさておき。
今は深夜に近い時刻。
いつもこの時間帯に院長室に四人のシスターたちが集まり、何かを喋っているのは確認してあるんだよ。


「俺の勘では優雅にティーパーティー、ではなく! 悪の秘密結社による陰謀か、はたまたその結果報告」
「そうね。秘密組織である確率は9%だけどシスターたちの毎日の報連相でしょう。問題はその内容。おねーちゃん、何か使えるスキルある?」

まだこの二人には使えるスキルツリーは一つしか生えていない。
私の場合は『板前スキルツリー』と『家政婦スキルツリー』というものに色々なスキルが生えつつある。

あっと。
それから三人のステータス画面だけど、現在こんな感じ。


『ミユ』
性別:女
年齢:八歳(嘘つきは泥棒の始まり)
種族:人族
状態:良好(元気もりもり)
職業:元浮浪児。かりそめの孤児院料理人
レベル:8
称号:疫病神アクタリオンのお気に入り(♡)
  板前見習い
  家政婦初級
HP:16
MP:11
スタミナ:22
きようさ:33
すばやさ:24
物理攻撃:30
物理防御:20
魔法攻撃:1
魔法防御:20
運:100
取得スキル
『芋の皮むき』ランク7(よくがんばってるね)
『職人の目利き』ランク4(ふっ、まだまだだね)
『食品表示偽装』ランク2(あまり使わないこと)
『縫い針』ランク5(昆虫採集がんば!)
『・・・・』ランク0(あと少しでゲット)
装備:両手武器『炎のフライパン』攻撃+1。クリティカル率アップ+2

なんちゅ~ふざけたコメント。
でも分かりやすいかも。
そしてカンストしたという運が100という事は、多分だけど各ステータスの上限は100?
先は遠いわ。

それと八歳でレベル8って高いの?低いの?


次。
『メグ』
性別:女
年齢:四歳(実は十四歳)
種族:人族
状態:良好
職業:元浮浪児
レベル:4
称号:疫病神アクタリオンのお気に入り(♡)
  リケ女の卵
  ミユの妹
HP:4
MP:12
スタミナ:6
きようさ:6
すばやさ:4
物理攻撃:3
物理防御:4
魔法攻撃:1
魔法防御:2
運:10
取得スキル
『データ収集スキル』ランク4(派生スキルをお楽しみに)
『・・・・』ランク0(あと少しでゲット)
装備:片手武器『百均風おたま』攻撃力―1。

やっぱりデータ好きだね、メグ。
おたまは持たない方がいいと思う。



『ユーリ』
性別:男
年齢:四歳(本当はいわゆる一つの厨二の季節)
種族:人族
状態:良好(健康優良不良少年)
職業:元浮浪児
  ミユの弟
レベル:4
称号:疫病神アクタリオンのお気に入り(♡)
  口先の魔術師見習い
HP:5
MP:5
スタミナ:2
きようさ:2
すばやさ:5
物理攻撃:3
物理防御:2
魔法攻撃:1
魔法防御:5
運:25
取得スキル
『口から出まかせスキル』ランク5(そのうち詐欺師見習い称号が来るかも)
『・・・・』ランク0(あと少しでゲット)
装備:片手武器『黎明の燃える神聖剣。材料、拾った木の棒』攻撃力+0.5。


ツッコミどころ満載だけど、今はそれどころじゃない。

私は両手でフライパンを握り締め、忍び足で修道院の奥にある院長室へと通じる廊下を進む。ついついテニスラケットみたいに持って「ふっ、まだまだだね」と言ってしまいそうな恰好です。

後ろには、ついてくるなと言ったけどついてきちゃった二人。
寝巻に裸足の三人が通るたびに、おんぼろの廊下の床が軋まないかと冷や冷やしながら院長室からもれる光を頼りに進んでいく。

院長室の前に来た。
ポケットに入れて置いた紙で作ったコップをドアに押し当てて耳をつける。メグが原理を説明していたけどそんなことはどうでもいい。

「……では、来月の出荷はアイリスだけでよいのかしら?」
「はい。まだアーニャは調教前ですので。この前のジュディの時のように騒がれても問題ですのでゆっくりと準備を……」

!!
なんですって?
出荷?
調教?

メグの統計確率89%は外れて、ユーリの口から出まかせの勘が当たりなの?
奴隷飼育と販売。
いえ、もう少し探らねば。

「……ですから……しましょう。明日は……」

ええい!
小声でしゃべるな!

「ねえちゃんねえちゃん。俺、スキル生えて来た。盗み聞きスキルだって」

お前! 元の世界で何盗み聞きしていたんだ!?
お姉ちゃんは悲しいぞ。

「ユーリ。それで何言っているか分かる?」

冷静にメグが聞くと

「今年の夏至祭までに、いけにえを500人は集めないといけないと」
「「いけにえ??」」
「今度、周辺諸侯の領土を接収するから大兵力を動かす。だからエレーナ様へ生命力を魔力としてお納めして、魔法兵器のエネルギーや弾丸とすると」

そういう事なの?
人が多い程、その国と祭神が強い。この仕組みが浮浪児を集めてのいけにえということ?

「普通ならいけにえにするまでもなく、一生の間、生命力を搾り取る取るだけで済むとかなんとか」

それでもひどい!
このままではこの子たちもそうなっちゃうの?
お姉さんがそんなことはさせないよ!

力んだ拍子にフライパンを壁にぶつけてしまった。
コーンといい音。
フィフティーン・ラーブ。

「だれ? そこに誰かいるの? 入っていらっしゃい」

そう言われて入っていくほどお人好しではありませ……

「「失礼しま~す」」

何で入っちゃいます? 二人とも。
もしやと思い、急いで二人のステータスを確認する。
状態『魅了』。やっぱり。

そういえばさっき『抵抗に成功しました』とか聞こえた様な。

「ようこそ。私たちの本来の住処へ」

シスターたちのお尻から矢印型のしっぽが生えていた。



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