第229話:【配置・5】銭がないと喝破されるね
順番が逆になりまっした、ご勘弁(+_+)
「オ……ッホン。あ~、次に東海道でございまする。こちらは某から」
頑張らねば。某は冷静に、冷静にと己に言い聞かせつつ話し始めた。
今川は最後の輝きを見せている。織田殿の指図か、将又松平殿の独断か。この春先に我攻めをした。相当な被害が出たと聞く。ここで手柄を立て、三河を取り戻したかったのか。このままだと籠城戦。またぞろ一向一揆が起きるかもしれぬ。それで焦ったか。
未だに掛川城は持ちこたえている。兵糧を西国が入れているらしい。
織田殿は兵を上げ伊那谷へ侵攻を開始した。いつもながら素早い。常備軍の良い所だ。武田も慌てている様子が見える。真田殿から武田の配備が皆に伝えられた。
主力を甲斐に集めて出陣の準備をしているという。2方面に分かれる可能性もでてきたという。埋め草(長年潜入している間者)の情報が2つに分かれている。駿河に南下する武将。なんと上野に向かうと洩らす武将もいた。
しかし伊那谷へ向かうという情報は入っていない。こうなるとすべてが怪しい。相模や武蔵に来てもおかしくはない。
このような情報操作は大胡がお得意だった筈。今はそれを受けているのだ。これは敵も大変であったであろう。
しかし、だ。
一つ言えることがある。
行く先の道は整備されていなければならない。幸い武田は銭が不足している。お得意の棒道の整備すら覚束なかった。よって今急遽整備しているということを忍びが探ってきた。
これが主に北方への街道が整備中という事。諏訪までの道は元々整備されている重要な道だ。問題はそのまた北。そこは整備されていない。それに対し甲斐から佐久へ抜ける道が整備され始めていたという事だ。ここを探れたのは大きい。
まさかの要害の碓井を攻めるか?
「あ~。碓井に来る? まさかね。……と言うのが一番怪しいのは古今東西、戦上手のやることだよね。ここはその対策も立てないと」
その殿のお声で休憩に入ることとなった。
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