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第228話:【配置・4】先行公開

第228話:【配置・4】てっこーせ~ん




 殿の御裁可が下った後、里見の現状を伊丹殿から説明を受ける。

「某は海の上から手に入れた情報のみでござるが、どうやら上陸戦を挑んでくる様子。利根川は守備だけ。大規模な船団を用意している気配がいたす。
 これが何処へ来るかは信ぴょう性、定かではござらぬが、主に2つの目標がございましょう。一つは品川。もう一つは三浦半島の先端。我が水軍の最前線基地である三崎城を攻める可能性がありまする」

 やはり房総水軍との戦いになるか。江戸湾の制海権争い。これで里見方面は勝敗が決する。

 皆が唸ると同時に伊丹殿への信頼が増したようだ。某のような若輩……ああ、もう既に今年で28。そんな弱気ではいかぬ。半兵衛殿や政幸殿の師でもあるのだ。観察だ。観察がまず大事。全て観察から始まる。そして推論と試行。試行した結果をまた観察。それを繰り返す。天才ではない某がやっていけることは一つ一つ階段を上がって積み重ねていく事しかない。

「あれ、どうなっているのん? 使えそう? 間に合いそう?」

 あれとは西伊豆で作られている新型船だ。現在戸田や米崎、田子で建造されている鉄甲船と南蛮船。まだまだ職人が育っていない。直江津での技術蓄積もたった3年間しかできなかった。それでも職人をこちらへ連れてこられたのはよかった。逐次移動していたのが良かった。

 向こうは大きな板材が作れる。安宅船にはもってこいだ。しかし南蛮船は大きな材木は必要ない。組木細工による構造だとわかり伊豆での建造となった。南蛮船に公園出の技師を乗せてもらい隅から隅まで見回り図面を起こした。秘密を盗ませてもらった代わりに関税・港の使用料を無料とした。

「依然、沖乗りには向かえませぬ。六分儀の調子も悪く調整中。練習を欠かしてはおりませんが実地訓練が出来ませぬ。まだ南蛮船は作れておりませぬ故、黒潮を乗り越えるのは危険かと。
 そのため房総半島の東岸には向かえませぬ。
 鉄甲船の方は3隻が艤装を施してあり使用が可能ですが、未だ訓練不足。使うとするならば3隻の乗組員を1隻に集中して同時訓練。それを運用するならば使用できまする」

「おお。それで1隻浮かべておけばなんとか海戦できそう?」

「は。大崎防衛程度は出来そうにございまする」

 殿は少し考えた後、1隻にて大崎に配備するように指示を出した。




鉄甲船、そんなに早く作れるの?
大体安宅船すらまだそんなに作っていないんじゃ?

などとガンガン突っ込んでください!

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