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【あとがき】5月の作品

 パプリカ(挨拶)
 パラ農です。

 まず告知から。
 ☆もはじめて3桁いただき、たくさんの応援・感想を頂戴しているご好評の《antiqua》について。本当に多くの方にご愛読いただき悶えていただいているということで、作者冥利に尽きます。毎度言ってますがありがとうございます…!
 先日で第2部『日比谷激闘編』が完結し、第3部『世田谷2LDKゲロ甘ステイホーム編』を(自粛期間も過ぎた今さら)連載する訳ですが、年初からの連続更新で少々身体が悲鳴上げつつあるため、1週間程度おやすみを挟むつもりです。ちょうど先ほど予約投稿した2部終了直後の閑話・第1話で止まることになり心苦しい限りですが、お待ちいただけましたら幸いです。
 では、恒例のあとがきです。

■あゆるちゃん会議。もしくはノロケたい女とノロケられない女
 《百合マルシェ》掲載。《オトナ保育園》の絢・あゆる、《antiqua》の凛子に新作告知をさせるというお話でした。《琥珀色恋愛遊戯》と同様、今後新作短編としてお出しして、人気があれば連載するつもりです。お気に召しましたら応援をよろしくお願いいたします。ゲロ甘ハピエンになるはずです。

■antiqua ~琥珀色恋愛遊戯~
 冒頭でお話した通りご好評いただいております。
 今回は3部告知として「ステイホーム期間何やってるの?」というお話をお送りいたします。先に言っておきますが病気ネタは扱いません。

◆黒須美琴
 勤務先である明治文具は下町工場ゆえに、テレワークなんて概念は存在しなかった。南無三。ただ時差出勤と業務時間短縮は許されたため、合計2時間ほど勤務時間が短くなった。アラートが出た初日の美琴と凛子の仕事は、オフィスデスクの並べ替えと消毒液・アクリル板の設置、三密回避ポスターの貼り付けと、凛子がインスタで見つけたアマビエの絵を飾ること。最後のだけは「意味あるの?」と半信半疑の美琴であった。
 町田から経堂への引っ越しはギリギリセーフ。世田谷経堂2LDKの家賃14万は折半することになった。不要な家具家電類を売り払い、空き部屋にまるまる収まることになった美琴は不退転の境地。ただベッドだけは捨てられなかった。毎日オレンジの匂いに包まれていっしょに寝るのはまだ恥ずかしい様子。ただしミモザはかわいい。
 ステイホーム耐性(高ければ高いほどおうち時間が得意)は20%。
 家でできるような趣味という趣味がない美琴は、じっとしていられるのだろうか。

◆シャルロット・ガブリエル
 ガールズバー・アンティッカは長い臨時休業に突入することになった。さらに酒税法上カクテルはテイクアウト販売できないので、やることがなくなって半ニート状態。貯金はあるので半年はどうにかなるらしい。生活環境ががらりと変わり、昼夜逆転の体内時計が美琴と同じ時を刻むようになった。美琴に行ってらっしゃいのキスをして見送って、家事を済ませて一息つきながらテレビを見る。まるで新婚専業主婦のようだが、やることがないと手が伸びるのは酒瓶かゲーム機である。とは言え酒にはめっぽう強いので、ふにゃふにゃになるほどではない。せいぜい普段よりいくぶんか素直で、またいくぶんか頑固ないつもとあまり変わらないシャンディなのだった。ミモザは相変わらず懐いてくれない。
 ステイホーム耐性は100%。
 カクテル道具は揃っているし、酒瓶もアンティッカから持ってきている。ゲーム機もあればサブスクで映画もドラマもアニメも見放題。オマケに最高のオモチャ・黒須美琴が居るので毎日をエンジョイしている。

◆白井凛子
 職場については美琴と同様。明治文具に飾ったアマビエのイラストは琴音がインスタに投稿した自作の絵。だから効果があると思っているが、投稿した当の琴音は特に何も考えていないし、よく見たら《アマエビ》と書いてある。逆に祟られるのでは?
 自宅と職場が近いので、自転車通勤を始めた。満員電車に乗りたくないというよりは、少しでも外の空気を吸いたいという理由から。以前勤めていた派遣型風俗店《アロマティック》との縁は切れそうで切れない微妙なところだが、そもそもそちらも臨時休業中。毎日のようにあゆる店長の悲鳴を電話で聞かされてウンザリしている。自粛期間中の愉しみは黒須琴音のインスタライブと、黒須琴音を始めとした推しの過去の出演作品を見返すこと。ひとり部屋を暗くして、サイリウムを振りながら琴音の舞台を応援している。
 ステイホーム耐性は80%。
 オリジナルアロマのブレンドを試したり、動画サイトでヨガやピラティスを試したり、料理動画を見て凝った料理を試したりしている。もともとインドア寄りで趣味もインドア寄りだったためさほど苦ではないが、テレビ収録の観覧や観劇ができなくなったことが少し寂しい。琴音とはなぜかZoomで繋がってしまった。

◆黒須琴音
 シャンディに次ぐ半ニートその2。主演映画の公開も、ドラマの撮影も舞台もすべて延期か中止になってしまった。唯一の仕事である昼間のFMラジオも、隣人・ひふみに音響機材を借りて自宅からお届けするスタイルになったため、一歩も外に出ずとも生活が立ち行くようになってしまっている。食事は三食、カネに物を言わせてウーバーイーツであった。
 とは言え本質は役者バカ。ヒマがあろうがなかろうが洋の東西を問わず作品を貪って、様々なものを盗んで己の血肉に変えている。凛子も欠かさず視聴しているインスタライブの内容は、直前に見た作品の話がほとんど。ずっと《プリズンブレイク》や《24》を今さら見た話をして、若い視聴者を困惑させたりするなど、清楚キャラを守ったまま自由気ままにやっている。
 ステイホーム耐性は30%だが、100%でなければならないのが芸能人の運命。
 ずっと映像や本にかじりつくのも飽きがくるので、家族や友人にZoomアカウントの取得を薦め、よなよなオンライン飲み会や同時視聴会を催して騒いでいる。凛子をどうやってオンライン飲み会に呼ぶか画策している。

◆柳瀬早苗
 テレワークの権化。さすがの一流企業・日比谷商事は対応が早く、自粛が宣言される前にテレワークが実施された。直前まで濃厚接触ダンスパーティーを催していたことは目を瞑るとする。
 在宅勤務になった途端、仕事のスピードが3割増した。《何でも屋》として顔が広く知られるようになったことに加えて、チャット一本飛ばせば掴まるようになったため。「無用な会議が減ったから余裕です」とは早苗いわく。ただし、仕事を引き受ける報酬として渡されるお菓子が手元に届かなくなってしまった。そこまでお菓子を好きな訳ではないが、ないならないで寂しい。という話を上長にすると、高級菓子アソートが密命とともに自宅に届いた。ひっきりなしに仕事に明け暮れている。
 ステイホーム耐性は90%。
 仕事が趣味なので職場でも家でもやることは変わらない。妻の董子が居るぶん家のほうが幸福度は上がるが、董子は時折性的なイタズラを仕掛けてくるので困っている。せめてビデオ会議中はやめてほしい。会議外ならいいから。

◆柳瀬董子
 何も変わらない人。日比谷から再就職を打診されたが、元職場に未練はない上に、「いつでもスケジュールを抑えられる人」が早苗に必要だということで、有事の際にいつでも出立できる足軽みたいな専業主婦を続けている。テレワークでずっと在宅の早苗は、リビングの机で常に仕事モード。そんなピリピリしている早苗を向かいに座って見るだけで、《百合会議》から救ってくれた職場時代の早苗とのやりとりを思い出して毎秒ときめき、毎秒恋に堕ちている。普段の愛妻弁当ではない、あたたかいお昼ご飯を作ってあげられることが何より嬉しいらしい。だから時々、机の下で足を伸ばしたり、机の下に潜り込んだりして大事な場所にイタズラしてしまうのは仕方がない。好きすぎて辛抱きかないのだから仕方がない。幸あれ。
 ステイホーム耐性は50%。
 三度の飯より百合が好きなので、家でいくら百合作品と百合妄想をしても許されるおうち時間は天国である。だが、イベントごとが軒並み中止になってしまったことで、薄い本で財布をゲート・オブ・バビロンできない宝具封印状態なのであった。

◆赤澤来瞳
 いろいろあって早苗の部下に落ち着いたが、こちらもテレワークの真っ最中。《花のワルツ》事件の直後、美琴・琴音に詫びを入れたが、二人の返事は微妙なものだった。とはいえ来瞳は悪びれない。すべては小杉のせいなのだと一切の躊躇なく自己を正当化した。強い女である。現在は小杉との連絡は絶ち(というのも小杉はネット環境すら不安定なセントヘレナに島流しされた)、現在はスパイとして秘書課秘密チャットの内容を全文コピペして早苗に送るという案外アナログなスパイ活動を行っている。秘書課のメンバーを裏切ることに特に抵抗はなかった。赤澤には秘書課への帰属意識など微塵もなく、秘書課の人間もどうでもよかったのである。だってあいつらマウントきついから。学級会じみた同調圧力が死ぬほど嫌いな赤澤にとって、スパイはある種願ったり叶ったりの申し出なのだった。
 ステイホーム耐性は10%。
 ジム、ダンス教室、ピラティス教室などなど趣味に自分磨きに忙しかったが、そのすべてが自粛してしまい趣味がなくなってしまった。早苗の部下たる飯田とは一度食事をして《誘って》みたが、「怖い」と拒否されて軽くショックを受けた。

 そして3部よりの人

◆犀川ひふみ
 美琴よりも若い世代。10~20代前半を中心にヒットを飛ばすシンガーソングライター。元々ボカロPで裏方だったが、容姿と声質に目が留まりメジャーデビューすることとなった。元々ピアノをやっていたので使用楽器はピアノ。楽曲制作はDTM。事務所的には琴音の後輩にあたる。ただ本人はあまり人前に出る気がなく、できれば全部収録で済ませたいし、もっといえばCDなり配信のマスター音源聞いていればいいだろうと思っている。死んでも出たくない番組は《アンプラグド》と《紅白歌合戦》である。前者は観客との距離の近さ・生歌だから、後者は制作局のお堅さと視聴率。だから年末は裏のお笑い番組に出られないかと事務所マネージャーに頼み込んで呆れられた。3月末の出来事である。
 ステイホーム耐性は40%。
 ディスクユニオンとブックオフ・ハードオフをこよなく愛するディグ屋。趣味でDJもやるので音源持っているのが正義…だが、なかなか家を出られないので目下メルカリでディグっている。効率が悪いのと偶然掘り出し物に出会う率が下がるのが玉に瑕。


 今月も最後までお読みいただきましてありがとうございました。次回もお楽しみに。

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