自分にとっての、愛とか魂とか、希望とか孤立というものを再認識したとき、自分の至らなさが手に取るように判った。
それでも俺は書いた。稚拙な文章だろうと、才覚に溺れながら書いた。
透き通るような文体、それらが群衆を体現したとき、初めて小説というものは完成する。
その瞬間、俺は「ああ、小説に片思いしているんだな」って思う。
小説には映像作品のような鬼気迫るような演出は入れられない。
しかし小説ならではの訴え掛けるような文章が目の前に横たわるのだ。それがどれだけ美しいだろうか。
これが小説の最たるものじゃないのか。