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What's the HEAVY NOVEL.

BGM: “DEAD BONE BLUE” -GYZE-

山野ねこさんの作品、「ブラッドライン」を読んで思うことがある。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881274218
https://kakuyomu.jp/users/yamanoneko/news/1177354054882766754
https://kakuyomu.jp/users/yamanoneko/news/1177354054882775460

小説を文学とするならばだが、文における「重厚さ」とは何によって生まれるのだろう。
それは、読者との繋がり、ではないかと思う。
我々は小説を読むとき、文や、イラストの向こうに思い馳せてワクワクする。
それは、そこに生きる人々の意思を、神話や英雄のように辿ってだろうか。
それとも、その世界に存在する「自分」に思いを馳せてだろうか。


子供の頃、「ガメラ2 レギオン襲来」を見て、自分がその時の札幌にいたなら...と思うと恐ろしくて泣いてしまったことがある。
俺はその時から全く成長していないな、と思ったのが「シン・ゴジラ」であった。
たかが映画、たかが物語、たかが嘘話。
そういう人も、東京を一瞬にして火の海に変えた放射熱線の映像を見て何かを感じるのだろうか。

怪獣映画は、時代が進むにつれて子供のためのライトな物語から、大人のためのヘビーな物語へと変わっていった。

それは、なぜなのだろう。

話は変わるが、面白い落語、というか面白い物語というものは大抵「嘘話」である。
かつて上方落語における爆笑王と呼ばれた、二代目桂枝雀は「笑い」そのものの分類のとしてこのようなことを言っている。

––––
快感というものが起こるのが「緊張の緩和」であり、その顕れが「笑い」である
笑いは4つに分類できる。
・知的な笑い「合わせ(形而下)・離れ(形而上) 即ち『変』」
・情的な笑い「他人のちょっとした困り」
・生理的な笑い「緊張の緩和」
・社会的な笑い「タブー」

緊張とは「離れ」であり、緩和とは「合わせ」である。
緊張・緩和あるいは「離れ」・「合わせ」 この何れも「虚構」「変」であり、虚構によって笑いが起こる。
––––
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16688264

物語が人を感情移入させるのは、それが「虚構」であるからである。
ところが、その「虚構」と「現実」が近ければ近いほど、人間はその物語に重みを感じ、その一方で激しく感情移入するのかもしれない。


「鹿狩のカムイウタラ」は、異世界ファンタジーであり、「並行世界ファンタジー」と私は呼称している。
その舞台は全くの異世界ではなく、私たちの形而下とは異なる過去によって作られた北海道、つまりパラレルワールドの異世界なのだ。

その中で、自分は何を描きたいのだろう。

それは決して、カムイユカラや、世界各国の神話のように荒唐無稽な虚構ではない。

現実を侵食して行く虚構、そしてその虚構をも取り除こうとする虚構。その世界の中で様々な人々が自分のあり方を求めて行く。
それが最終的に、その世界の「在り方」を決定づけて行く。

––––
“(前略)私の勝手な印象ですが、最近の文学って、芥川賞とか読んでみても、すごく個人的なんです。人間の内面の問題。「私がどう思ったか」を、内省的に考える傾向が強いと思っています。あと、文章表現のオリジナリティとかも、今の「文学」は重要な気がする。

で、私が勝手に夢想する「ヘビーノベル」とは、個人の問題に限らず、ストーリーが重い問題やらを扱っているやつもアリ。まぁ、自分でこいつぁヘビーだぜ、と思えば、それでいいと思います(適当)。ラノベ一辺倒に傾いた小説界への反動です。”
-山野ねこ- 近況:「カクヨム ヘビーノベル部について」より引用
––––

きっといろんな方から反発をもらうでしょう、ですが自分には、「鹿狩のカムイウタラ」という物語が、個人の問題を描く物語になる気がしないのです。
ということで私は、ひっそりとタグに「ヘビーノベル」「ヘノベ」を付けました。
山野ねこ氏の提唱から始まったこのタグにどういった作品が集まり、どういった「カクヨム」という文学世界を構成するのか、今からワクワクしている次第です。

長文、失礼しました。ここまで読んでいただいてありがとうございます。
「ブラッドライン」...はもう流石に読んでるか。
全然まだ書き始めたばかりですが、「鹿狩のカムイウタラ -RotF-」も読んでいただければ幸いです。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882663341


追記:「アンチファンタジー」というタグ、言葉に対する自分の考えはまた今度。というか最近全然書いてねえよこんな話してる場合かバカ。

2件のコメント

  • ヘノベ、取り上げていただいて、ありがとうございます(^o^)/

    ところで、桂枝雀は私の好きな落語家ベスト3に入っています。あと2人は志ん朝と談志。みんな、あちらに行ってしまって悲しい限りです。
  • とんでもないことです(ΦωΦ)

    俺の創作に興味を持つきっかけが枝雀だったんですよねえ、志ん朝さんも談志も大好きですが、思い入れが深いのは枝雀さんなんです
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