作品完結後の恒例の後語りに入ります。
超兵器NEOのネタバレが含まれますので、未読の方はご注意ください。
かなり長くなります。
長くなるということは……お察しください。
元々はタイトル未定。
オーウィルよりもこちらの構想が先にあったのは、他でも語ったとおりです。
初期の初期はストーリーもあまり考えられておらず、エネルギー生命体を宿したロボットで戦うという設定しかありませんでした。
適合者の悲哀やエネルギー生命体を宿したAIの暴走などは考えていたのですが、大まかなプロットのみでした。
その後に「超兵器NEO」のタイトルがつけられ、ストーリーを考えるという経過をたどっています。
エネルギー生命体はロボットを動かす動力源として、また作中世界を表現するギミックとして生まれました。
当初は少年主人公ではなく、エネルギー生命体を宿した研究員が主人公で、いきなり現れて正体不明のままNEOの暴走を止める孤独なヒーローみたいな感じでした。
ミステリアスな過去がある謎のヒーローってカッコイイじゃん?みたいな?
若気の至りです。
舞台は宇宙開発が進んだ未来で、地球の周囲に四つの大きな宇宙ステーションがありました。
その宇宙開発を支えているのが、動力としてのエネルギー生命体。
これを詳しく説明するために前日譚が必要となり、後にオーウィルとなるタイトル未定のストーリーが作られます。
それはそれとして超兵器NEOでは、NEOの暴走で宇宙開発が中止の危機に陥り、その裏で多くの組織の思惑が働いて……という複雑な群像劇のストーリーを描こうとしていましたが、これも若気の至りです。
どう考えても手に負えず、客観的に見れば意味不明なストーリーにしかならないのに。
そんなこんなでストーリーをとっつき易く簡潔にするために、少年主人公にしたのですが、これも今の形とは大きく違います。
主人公は宇宙ステーションのロボット系の大学(曖昧)に通う大学生で、エネルギー生命体の取り扱いを誤って適合者になります。
NEOの暴走でステーション全体が機能停止に陥りますが、適合者の主人公は偶然大学のロボットに乗っていて、NEOを止めるためにステーションの警備隊のロボットと共闘、その後に適合者たちのNEO討伐隊に加わって……というものでした。
メインストーリーのラインは今の作品とそう変わりませんが、まだ群像劇に未練があり、余分なサイドストーリーを挟もうと苦心していました。
NEO以外の敵との戦いや宇宙ステーションの警備隊の活躍と葛藤など、舞台は宇宙にも広がっていました。
ロボットの乗り換えとかもなしで、この少年主人公は最後まで大学のロボットで戦っていました。
そして最大の違いはNEOの暴走を止めた後、人類はエネルギー生命体と共存するエンディングを迎えます。
便利な力は手放せないとか、力は使う者次第とか、そんな感じの。
主人公が日本の日本人になったのは、オーウィルのストーリーの影響です。
正確にはタイトルがオーウィルとなる一つ前の段階ですが……。
今回の書き直しで、それまでの余分なものをほとんど削ぎ落としました。
適合者たちを話の中心に持ってきて、NEOと適合者との戦いに収め、それ以上は広げない。
そして完成したものを見返すと……これはガンダムですね……。
適合者同士の感応とか超能力じみた力とか、ニュータイプかな?
それでも全体としては、設定と物語がほどほどに噛み合って機能していたと思います。
諫村忠志の存在がデウス・エクス・マキナみたいですが、これは初期からあった謎のヒーロー要素なので、想定どおりです。
過去作から役割の変わったキャラクターは一人だけ、上木新里です。
彼女の立ち位置には適合者の女性上司がいましたが、その代役にしました。
新キャラクターは国立功大。
彼は過去作には存在しない人物で、同じ立ち位置の人物もいませんでした。
両者とも飛び入りの割には、違和感なくストーリーに組み込めたと思います。
宇宙ステーションの設定がなくなり、主に地球が舞台になったことで、警備隊などの存在は消えました。
なぜ宇宙の設定を無くしたのかというと、ガンダムっぽさをより強く意識してしまうからです。
ステーションと名前を変えても実質はコロニーですから。
宇宙が舞台でニュータイプもどきが人型ロボットに乗って活躍して……というのはさすがにどうなのかと。
以下、登場人物の過去設定など。
・国立純真
元々は名前も未定で、搭乗するロボットの名前も未定。
このあたりは時系列的に彼の存在そのものが後づけだからです。
「O'wil」を書き終えた後に、(最初から深い設定がなく)誰でも良いなら前作からの登場人物に関係した人物を置こうという事で、「国立功大の孫」の彼が主人公になりました。
好奇心旺盛で何でも試したがる性格ですが、良くも悪くも普通の人の範疇。
途中から増長するのはエネルギー生命体の影響で、諫村忠志の登場後は自分より強い彼を認めて増長しなくなります。
乗機はビーバスター六号機からパーニックス。
六号機は他の適合者たちのロボットの予備として置かれていたもの。
ビーバスターもパーニックスも中身はほとんど空で、エネルギー生命体の力を頼りに動いています。
・適合者たち
乗機のカラーリングなどは戦隊ものを意識。
ウォーレンが裏切るのは既定路線なので、彼は悪役っぽい紫色。
一人は主人公に従い、それ以外の全員がウォーレンに従うというのも、元からです。
最初は六人組で、ウォーレン以外の名前も決めてあったのですが、もう思い出せなくなったので、「O'wil」の四天王から名前と色を取りました。
よって関連がありそうでありません。
ウォーレンも含めて思考にエネルギー生命体の影響を強く受けています。
それぞれの乗機にわずかながら個性がありますが、作中で大きく取り上げるほどではありませんでした。
いちおう一号機は総合力、二号機は火力重視、三号機は防御重視、四号機は機動力重視、五号機は支援型となっています。
それよりもパイロット(エネルギー生命体)の影響が大きいので、個々の性能の差は無いようなものですが……。
乗機のビーバスターは当初は「E」シリーズで、EリーダーとかEガンナーという名前けでした。
このEはエネルギーのEです。
・諫村忠志
前作主人公にして影の主人公。
今作では主役の座を国立純真に譲って、目立たせないようにしました。
本人は分身と言っていますが、記憶と肉体を引き継いだら、もう分身じゃなくて本人だと思う人もいるでしょう。
しかし、彼の意識は肉体ではなくエネルギー生命体にあり、ゆえに王から分離した彼は分身なのです。
登場後は良い所を全部持って行く流れでしたが、それはあんまりだということで変更。
オーウィルは前作から性能に変更はありません。
・研究所の人々
EB研究所は世界中から科学者を集めていましたが、多くはアメリカ人です。
政治的にもアメリカの影響を大きく受けるので、ほとんどアメリカの研究所みたいなものです。
つまり研究所の判断はほとんどアメリカの判断と言って良いです。
研究所はあくまで研究をする場所で、軍事的な作戦は軍が決める形。
上木新理は適合者の育成に関わっていましたが、それほど権限は大きくありません。
それでも彼女は自分ができる限りのことをしました。
ただ適合者に孤児を利用しようと決めたのは、彼女ではありません。
・機械巨人
アイアントールとランドクエスターは当初はNEOのロボットではありませんでした。
敵対組織が作ったものでしたが、ストーリーの簡略化の影響で、NEOが作ったロボットに変更。
当初アイアントールは自爆するしか能がない試作段階の兵器という扱いでした。
今作でも扱いは大して変わっていませんね……。
ランドクエスターはアイアントールの完成形。
アイアントールの由来は「鉄(iron)」と「高い(tall)」です。
完全に言葉の響きだけで決めました。
・新戸内首相
完全に今作初登場のキャラクターです。
前作で名前だけ出た両月首相の後継者。
彼の政治姿勢を引き継いだために一歩も退けなくなった人。
後に辞任して政治の世界から去ります。
・NEO
タイトルを飾るラスボス。
まず名前ありきでNext Event Observerは後づけです。
オブザーバーなのに干渉しまくるってどうなの。
未来予測とは言いますが、大半は観察ているだけで、そんなに手強いという印象はないかもしれません。
能力的に諫村忠志と国立純真の二人には勝てませんし……。
NEOの思考はエネルギー生命体とプログラムの影響が半々です。
エネルギーを集めることや同じエネルギー生命体との接触に関してはエネルギー生命体が優位に働いて、それ以外ではプログラムが優位に働きます。
相反する二つの本能を持っている感じです。
エネルギー生命体としては「王」の性質を持っており、ウォーレンを認めたというのは、エネルギー生命体の強力な競争本能がより強く現れている彼を、後継者と認識したということです。
このシリーズは「O'wil」と「超兵器NEO」で完結です。
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