長々と語ることになって申しわけありません。
これで最後です。
今度はちょっとは読む価値のある話をしたいと思っています。
ここまで読んでいる人はあんまりいないとは思いますが、やっぱりOverhumanのネタバレ注意。
その前に謝辞を。
読者の皆様のおかげで4000PVを達成しました。
ありがたいことに完結後にフォロワーになってくださった方もいらっしゃいました。
完結済みの物語ではありますが、最後まで楽しんでいただければ幸いです。
以下ストーリーや作劇についてのお話。
Overhumanの文章は基本的には一人称視点の三人称語りです。
一部を除いてA・ファーレンハイトの身の回りの事が中心で、彼女が見ていないもの、彼女がいない場所のことは語られていません。
このような形式を取った理由は、一つは時空を操る技の不気味さを演出するため、もう一つはキャラクターの抱える秘密を自然に隠匿するためです。
それが上手く演出できているかは分かりませんが……。
逆に彼女の視点でありながら、描いていないものもあります。
それは彼女の私生活です。
これに限らずストーリー的に蛇足になる部分は、読まれる方の想像にお任せしたい所です。
プロト版やプロトセカンド版はあくまで昔の設定ですので、読む方の真実を見つけていただければと思います。
物語的には「謎を追う」楽しみ方もあろうとは思いますが、あまり意識してはいません。
謎解きの予想が当たった外れたというよりは、後で読み返して「ああこういうことだったのか」ぐらいに思っていただければ。
実際マスターFやマスターIの動きは何となく怪しいぞと察せる程度には露骨にしたつもりです。
作品のテーマは過去作から一新したというか、元々の妄想やプロト版はテーマがはっきりしてなかったので、リライトに当たってテーマらしきものを添えたと言うのが正しいです。
それがタイトルにもなっているOverhuman(超人)です。
一つはいわゆる超人間的な能力を持った「スーパーマン」的な意味の超人。
もう一つはニーチェの言う超人(ユーバーメンシュ)。
世俗的な価値観に囚われない者、ルサンチマンを乗り越えて世界を変えられる者、神の死によるモラル崩壊を乗り越えて強く生きられる者。
それらから最も遠い人間がマスターTです。
作中で弱者の立場から革命を成し遂げようとした人々、例えばディエティーやジノ、マスターFに対して、マスターTは否定するばかりで彼は自分の力で何かを成し遂げようとはしませんでした。
彼はまさに「究極の力を持った凡人」という超人とは対極の存在で、故に彼は後悔し続けるのです。
しかし、バッドエンドを描いたつもりはありません。
彼は彼の超人を見つけます。
ただ作者として後悔した点を言うなら、A・ファーレンハイトの銃、50-50の登場がちょっと唐突だったことでしょうか。
過去に試作されてそれっきり使い手がいなかったという設定ですが、マスターCの部下にマスター候補を加えるなりして、A・ファーレンハイトに関係のある人物でありながら兵器の整備もできる人を加えれば、もう少し自然にできたかなと思います。
これにて語れることは全部語りました。
いろいろ余計な事まで語りましたが……。
せっかく書き上げたので、自分の実力がどのくらいか知るために、機会があればコンテストにでも出そうと思います。
それでは次回作を投稿するまで、しばし近況ノートもお休みします。
ありがとうございました。