後語りは完結作品の特権というわけで、あれこれ語ります。
それはもううんざりするほど長々と語り続けます。
裏設定や若気の至りの展覧会なので、読む価値はありません。
当然ネタバレだらけなので注意してください。
Overhumanの質問などあればご自由にどうぞ。
まず最初期版、プロト版、プロトセカンド版、Overhuman(本作)のそれぞれの大まかな違いから。
最初期版では超人はマスターAだけで、血と涙は「超人の組織」ではなく「D国のテロ組織」でした。
血と涙が無いのでマスターAは邪悪な魂の一員という扱い。
プロト版でマスターTのクローンが加わり、プロトセカンド版で「超人の組織」とディエティー、A・ルクスが加わりました。
最初期版ではマスターAは死んでいません。
組織内に裏切り者がいることを伝えて物語からフェードアウトします。
最初期版は「天才科学者を迎えた敵組織との戦い」と「組織の内紛」という二部構成でした。
この敵組織は「邪悪な瞳(イービルアイズ)」という名前で、「黒い炎」に相当する味方組織は「AG(エージェントグループ)」でした。
作中で邪悪な瞳との決着はついておらず、未完です。
マスターとエージェントの設定はこの頃からありました。
A・ファーレンハイトに相当する人物も当初からいます。
プロト版にて天才たちの組織OOOの設定ができます。
そしてプロトセカンド版で初めて「超人との戦い」、「敵組織との戦い」、「組織の内紛」という流れが完成しました。
Overhumanとの一番の違いは最後の最後でマスターTが死なないことです。
プロト版でも邪悪な魂との決着はついておらず、プロトセカンド版においての続編でようやく完結していました。
OverhumanではマスターTが生き残っているので、続編はありません。
以下それぞれのキャラクター設定の変遷です。
A・ファーレンハイト
最初期版では「キロ」という名前でした。
銃の名手という設定は変わっていませんが、最初期版では何かにつけて勝負を挑む好戦的な性格でした。
男の子に間違えられるのも、この頃から。
最初期版ではマスターTからリングを受け継いで、時空を操るようになります。
プロト版とプロトセカンド版ではリングを受け継ぐタイミングがマスターTの死亡後になります。
プロトセカンド版の続編では超人の少年を引き取って、自分の部下にしていました。
最終的にマスターTと共に時空を渡る存在になりますが、Overhumanでは彼が死亡していないのでそんなことにはなりません。
A(エージェント)の略がピリオドではなく中黒なのは、当時の自分が無知だったからです。
プロトセカンド版では明確な恋愛感情を持っていましたが、Overhumanではぼかしました。
プロト版にてリフェルという名前があります。
マスターT
この人も設定が大きく変わっています。
O器官はOverhumanで新たに設定されたもので、それまでは超人のプロトタイプではなく時空を操るリングを持った、特別な研究機関の元研究員でした。
リングも使うたびに寿命が縮み、肉体を失うというものでした。
プロト版ではリングの暴走に巻き込まれて上位存在の使徒になり、プロトセカンド版の続編にて同じく上位存在の使徒となった邪悪な瞳のジノと対決しますが、そこまでリライトする気力はありませんでした。
プロトセカンド版ではOOOの博士の一人(ジリオン博士)の後継者として、OOOの中でも主要人物でしたが、Overhumanでは無かったことに。
本名は加々谷創(かがやはじむ)で、OOOでは「カガヤ」または「ハシム」と呼ばれていました。
最初期版とプロト版では、北方支部(全2名)の支部長でもあります。
部下の名前はアール(男性)とテスラ(女性)。
アールはマスターDの元部下で音速拳の使い手。
A・ルクス
プロトセカンド版にて誕生した人物です。
実験体としてテストで使い潰される運命でしたが、未来予知のできるプロダクトナンバーLLDに「救い主が現れる」と予言されます。
その救い主がマスターIであり、以後彼女は彼に心酔するようになりました。
プロトセカンド版の最後の戦いでマスターTに殺され、続編にて邪悪な瞳のジノに不死者として蘇らされますが、マスターIの手で葬られます。
マスターIに付けられた名前「ルミア」の由来はオドリコソウの学名「lamium」のアナグラム。
プロトセカンド版では「ディア」でした。
Overhumanでの死因はマスターTの時間加速によるO器官の急速な疲弊。
背が低く幼く見えるという描写ですが、超人の成長は普通の人より早いので、肉体的にはこれ以上成長しません。
マスターI
最初期版とプロト版ではただA・ファーレンハイトを味方に引きこもうとするだけの人物でしたが、プロトセカンド版でA・ルクスが登場したことで不幸になりました。
A・ルクスを失った後は気力を失って廃人化し、A国の諜報員も辞めてしまいます。
プロトセカンド版の本名はイスカンダリオ・アルデラースで、諜報員としての名はダリオ・I・ハーデス。
あだ名は「イスカ」または「ダリオ」。
投擲の名手と女好きの性格は最初期版から変わらず。
同期のマスターLと親しい。
プロトセカンド版プロローグでは幼いルクスがエージェントになる事には否定的で、彼女がティーンエイジを迎えてもエージェントになるという決意を変えなかったために渋々認めています。
彼は当初は超人の力を侮っていたので、ルクスをA国のために利用するという気はありませんでした。
出身はE国なのにA国の諜報員をやっているのは、移民だからです。
熱烈なルクスのアタックに押し負けただけでロリコン趣味はありません。
A・バール
最初期版での名前は「ミリ」。
その他はちょっと髪を伸ばしたくらいで、ほとんど最初期版から変わっていません。
マスターR
彼女も最初期版から設定はほとんど変わっていません。
マスターA
最初期版から一貫して天才たちによって生み出された超人という設定は変わっていません。
最初期版では組織から離脱した理由は、内通者だらけの組織を見限ったから。
プロト版で寿命が短いという設定に変わり、以後はOverhumanと同じ役割です。
プロトセカンド版の続編ではA・ルクスと共に不死者として復活し、再びマスターTに討たれます。
Overhumanでの死因はA・ルクスと同じ。
超人は成長が早いので、まだ20代でも十分成熟した大人です。
マスターB
最初期版から役割はほとんど変わっていません。
ただ最初期版ではマスターAの離脱で気力を失い、A国の暗躍を知りながら放置していましたが、後にマスターA離脱の真相を知って気力を取り戻すも時既に遅しという損な役回りでした。
OOOの元研究者という設定ができたのは、プロト版以降です。
A国に超人計画のことを密告したのは彼女ですが、後にOOOが軍に襲撃されてしまい、密告した事を後悔しています。
プロトセカンド版の続編では組織を抜けて孤児院の経営に専念しています。
マスターC
マスターBと同じくOOOの元研究者という設定ができたのは、プロト版以降です。
それまではただマスターの一人というだけでした。
プロトセカンド版の続編では組織を抜けて、武器商人になっています。
マスターD
設定があまり変わっていない一人です。
プロト版で電気を発生させる武具を装備して戦う設定が付きました。
プロトセカンド版での本名は龍雷王(ロン・レイワン)で、続編では新組織の実質的なトップになっています。
通称は雷龍(サンダードラゴン)
マスターE
彼も設定があまり変わっていない一人です。
A・ファーレンハイトとの一騎打ちで死亡するのも、最初期版から変わっていません。
プロトセカンド版の続編で蘇ることもありませんでした。
頑なに左手を使わなかったのは、マスターKを左半身で守っているという想定のため。
Overhumanでも人外みたいな戦闘能力でしたが、プロト版では剣圧で銃弾を逸らしたり、炎を巻き返したりするもっとトンデモな人間でした。
仮設定では本名はエドゥアルト・シュヴァルトシュミット。
マスターF
最初期版の設定では、国に捨てられたとかそういうこともなくて、普通に組織を裏切っていました。
その他の設定はほとんど変わっていません。
Overhuman以外ではマスターI、マスターLとトライフォーメーションを組んでマシンピストル二丁撃ちとかやっていました。
プロトセカンド版の続編では復活した邪悪な瞳にA国が敗れて、亡命することに。
マスターG
最初期版からマスターDの元部下という設定は変わっていませんが、体格が大きくなったのはプロトセカンド版からです。
それまではその他のマスターの一人という感じでした。
マスターL
最初期版からあまり設定は変わっていません。
プロト版から本名はレオナルド(苗字は未定)。
F国からA国への亡命者。
最初期版ではマスターA離脱後に組織のリーダーになっていました。
プロトセカンド版の続編では出番無し。
マスターS
彼も最初期版からあまり設定は変わっていません。
目立った出番らしい出番も特になし。
最初期版でマスターTとちょっと会話があったぐらい。
その他のマスター
マスターN、P、Qはプロト版から、その他はプロトセカンド版でようやく設定が固まりました。
それまではあまり特徴のない人たちでした。
マスターM
最初期版からあまり設定は変わっていません。
マスターを殺して敵組織に加入し、組織に捕まってマスターEに殺されるところまで全く同じです。
プロトセカンド版の続編で蘇ったりもしていません。
「地獄の爪」には戦闘服の衝撃分散機能を無効化する特殊な機能があります。
13、裏切り、MurderとMには色々な意味を込められます。
ゼッド
プロト版から登場。
プロトセカンド版まで「Zクローン」で、名前は設定されていませんでした。
プロト版ではマスターIとマスターLのコンビにナイフと電撃のコンビネーションで殺され、プロトセカンド版ではA・ルクスに殺されます。
彼のプロテクターはマスターTが装備しているものよりも高機能で、防御力はそのままに機動力の強化に加えて筋力補助も可能です。
マスターTの装備しているものは試作型で防御力は優れていますが、機動力強化も筋力補助機能もありません。
超人に劣る能力ながら超人たちと共に戦うべく、薬物で無理な強化を施していたために体はボロボロ。
元より彼は長生きするつもりがありませんでした。
ディエティー
プロトセカンド版から登場。
一貫して「欠陥の無い完璧な超人」という設定で、役割もそんなに変わっていません。
プロトセカンド版では襲撃の際にA・ルクスが不在だったために、A・ファーレンハイトだけを誘拐しました。
プロトセカンド版では上位存在の審判を受けて死亡。
Overhumanでの死因は異次元送りからの時流反転。
年齢的にはルクスの2つ上です。
ダイス・ロール
最初期版から登場している敵役です。
その頃は何度か戦って撤退するだけで、そこまで出番はありませんでした。
彼の黒いプロテクターはマスターTが装備しているものの強化発展型。
完全なサイボーグになったのは、プロトセカンド版の続編からです。
プロト版、プロトセカンド版では、登場するたびにプロテクターが強化される設定でした。
プロトセカンド版ではZクローンとちょっと交流があったり。
ルーレット・アロー
プロト版から登場している敵役です。
ジノの秘書という役割はプロトセカンド版から。
Overhumanではカード・シャッフルに獣使いの役割を分けました。
本編中の彼女の「洗脳」はOOOの研究の成果で、人間の集合的無意識と共感を利用したもの。
人間は意識の深層では繋がっていて、だから近しい人に感応したり、集団パニックに陥ったりするという架空の設定です。
本当にそうなのかは分かりません。
ロト・ナンバーズ
プロトセカンド版からの登場人物です。
組織の古株という設定は変わらず、ジノの後見人的な立場でした。
プロトセカンド版で目立った活躍はなく、超人を失って弱体化した組織を守るために、AGとの交渉の場で自害するのが唯一の見せ場でした。
ジノ・ラスカスガベ
プロト版からの登場人物ですが、この頃はほとんど名前だけの人物でした。
名前も違い「ジノ・ラスカ・ベガス」でした。
プロトセカンド版の続編にて上位存在の使徒となり、国際会議の場で世界各国の首脳を暗殺して、世界中を恐怖に陥れ大暴れします。
Overhumanでは続編を書く気はなかったので、本編内でO器官と時空を操る力を与えました。
北極圏ではO器官を抜き取られただけで死んではいません。
ロトとルーレットには「若」と呼ばれていますが、当人は嫌がっています。
邪悪な魂のメンバーの名前は全員賭け事に関連するコードネームです。
ジノ・ラスカスガベは「カジノ」「ラスベガス」のアナグラム。
博士たち
最初期版から登場していますが、この頃はドクター・ミリオン、ビリオン、ジリオンという名前で三人しかおらず、しかも全員マッドなおじさんでした。
プロト版にて、ドクター・サウザンドとハンドレッドが加わり、プロトセカンド版でハンドレッド博士が消えて、男女二人ずつとなり、そしてジリオン博士はトリリオン博士に。
最初期版ではミリオン博士が怪物をけしかけ、ビリオン博士が超兵器を使うという設定でした。
プロト版から戦場に出ることはなくなり、意味深なことを言うだけの存在になります。
プロト版とプロトセカンド版ではジリオン博士のリングを受け継いだマスターTが新しいジリオン博士になって、OOOで研究を続けていました。
プロトセカンド版では四人の博士は上位存在と同化して人間としての意識を失います。
Overhumanでは上位存在なんてものはなく、博士たちは別世界の自分たちとリンクして個としての意識や生死も曖昧な存在になっています。
こうして振り返ってみると上位存在とか時空を旅するとか、そういうのに憧れた年頃だったんだなと。
キャラの話はこのくらいにして、次は物語全体の流れやテーマに関して、もう少し中身のある話をしたいと思います。